TEIKAジャーナル

コラム「課外活動のススメ」(加賀谷)

2012/12/18

 私は本学の卒業生です。平成12年の夏に本学に職を得て以来、私は自らを学生と教員の中間的な立ち位置に、意識して維持するように努めてきました。最初の頃は年齢も学生達と近く、まだかろうじて先輩後輩の関係を築くことができましたので、その状況を生かして学生達と語り合い、彼らが何を求め、大学に何が足りないと感じているのかを聞きとることを自分の役割にしようと考えたからです。そのような立場にいましたから、私はこの12年間、学生達の活躍を目の当たりにしてきました。

 本学は動物や自然環境に関連する分野の課外活動がたいへん盛んです。この分野だけでなんと約30もの団体が日々活動しています(任意団体も含む)。以前何かの記事で「サークル数日本一の早稲田大学にもこれだけの動物サークルはない」と紹介されたほど面白い状況が起こっています。

 なぜこのような状況になったのでしょうか。事の起こりは平成13年、アニマルサイエンス学科(当時はバイオサイエンス学科アニマルサイエンスコース)が誕生した時に遡ります。1期生の学生達が入学してきたものの、開設初年度の当時は、まだ施設や設備も、そして制度も十分ではありませんでした。そこで、やる気に満ち、知識・技術に対する欲求に溢れていた学生たちの活力を発揮できる場を何とかして作り出せないかと、当時アニマルサイエンスコースの教員だった花園先生(現在はこども学科教授)が学生達を集めて希望を聞き、10近くの団体を設立したのが全ての始まりでした。1期生であるがゆえに伝統も先輩もなく、教員側が積極的に関わる必要もあったのです。しかしこれは見事に花開き、学科としての体裁が整って何年も経った現在においても増え続けて、毎日のように様々な団体が勉強会や観察会、練習、イベント計画や準備など、多彩な活動を行っています。

 例えば...。県内の犬の「多頭飼育」崩壊現場で、10年間も飼育ボランティアを続けているサークルがあります。この活動は映画「犬と猫と人間と」でも紹介されました。それから自分たちの犬を日々訓練し、アジリティやフライングディスク(フリスビー)、オビディエンスといった競技の大会に参加している団体がいます。彼らもNHKのニュースに出演したことがあります。また市内の農村で農業・林業体験や人とのふれあい、町おこしを目的とした団体を立ち上げ、卒業後の今も現地に住みながら後輩と一緒に頑張っている卒業生がいます。彼女も雑誌やテレビなど、色々なメディアで取り上げられているようです。
 他にも水鳥の飛来地として有名な市内の大野貯水池で水鳥の調査を10年近く続けて来ている団体、動物園での教育活動に的を絞り、毎回工夫を凝らした自作教材を使った活動を続けている団体、地域の子どもたちに自然の大切さ、面白さを伝えるために、ちょっと変わった動物を使った環境教育を行っている団体、遠足に来てくれた小学校や幼稚園の子どもたちに動物介在教育を行っている団体、障がいを持った子ども達に乗馬体験を提供している団体。挙げていけばきりがないほど、情熱的で真摯で若々しい力に溢れた数え切れない魅力的な活動が、この12年間に行われてきました。
 振り返ってみれば、私は学生時代、通学時間が長かったこともあってサークル活動に参加することも友人と時間を共有することも難しく、あまり大学生らしい活動をしないで終えてしまいました。そのため現在、自分の興味のある分野の活動に仲間と一緒に熱中している学生たちに接していると心から羨ましく思え、時には自分の学生時代を後悔することもあるくらいです。

 課外活動を通して学生は急激に成長します。その分野の知識や技術の習得はもちろんですが、それだけではなく、学生のうちに実に多くの社会的経験を得ることができるのです。入学時には精神面ではまだまだ子供のように見えた学生も、課外活動を通して組織の運営や会議進行、発表、内部連絡の方法、人間関係の様々な軋轢、外部との交渉や配慮などを経験し、卒業時には見違えるようになります。社会への関わり方が明らかに変わってきます。私はそういう例を何度も見てきました。
 ぜひ在学生や新入生の方に伝えたいことがあります。どの分野でも構いません。ぜひ課外活動を「真面目に」「全力で」やってみてください。活動が直接就職に繋がることもありますし、全然違う分野の職業を目指すのであっても、その経験は必ず未来を切り開く力になります。

 さて、最後に少々宣伝です。私が顧問となっている「ねこの目報道部」が発行しているフリーマガジンの「ネコノメ」の最新第13号が発行されました。研究室の紹介や課外活動のニュース、特集記事など盛りだくさんで、本学の学生達や先生方がいかに情熱を持って日々活動しているか、その一端を知ることができます。12月1日現在、上野原キャンパスの本館棟や実験研究棟、それから市内の各所にて無料配布中です。ぜひご一読を。おススメです。

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