TEIKAジャーナル

コラム「健康論―あなたは本当に健康か―」(保健体育科目教員 植 屋)

2012/11/08

上野原キャンパスの医療科学部の1年次生対象の授業(健康と生活)の受講生(106人)に1)「あなたは健康に自信があるか」(5段階評価)、2)その根拠は何かを問うた結果は、「大いに自信あり」(15人:14.1%)、「自信あり」(35人:33.0 %)、「どちらとも言えない」(36人:34.0%)「自信なし」(12人:11.3%)、「全く自信なし」(8人、7.5%)であった。その根拠は1)病気でないから(30人:28.3%)、2)ご飯がうまいから(41人:38.7%)、3)良く眠れるから(15人:14.2%)の回答で、自信がないとする回答では1)何となく自信がない(9人:8.5%)、2)体力がないから(9人:8.5%)、3)元気が出ないから(6人:5.7%)等であった。果たして彼らの健康の捉え方及び実態はこれで良いのであろうか!

広辞苑によれば健康とは「身体に悪いところがなく心身が健やかなこと。達者。丈夫。壮健。また、病気の有無に関する体の状態(広辞苑)」であり、WHO(世界保健機構)憲章における定義では「Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.:健康とは完全に、身体的、精神的、社会的に安寧な状態であり、ただ単に病気でないとか、病弱でないと言うことではない。」とされている。

私が専門としている体力科学的な観点からは健康には7つの概念・分類「1)Physical Health(身体的健康)、2 Mental Health(精神的健康)、3)Emotional Health(情緒的健康)、4)Social Health(社会的健康)、5)Intellectual Health(知的健康)、 6)Occupational Health(職業的健康)、7)Spiritual Health(霊的健康)」がある。簡単に言えば、「足腰が痛くない、風邪を引いていないこと」(身体的)も、「日常生活でくよくよしないこと」(精神的)も、「美しい草花をきれいだなーと感じること」(情緒的)も、「赤信号を渡らないこと(社会的)」も、「向上心を持って勉学に励むこと」(知的)も、自分の職業に一生懸命に打ち込むこと」(職業的)も、「食事の前後で<いただきます>と手を合わせられること」(霊的)も実は健康の概念なのである。

更に健康(及び健康観)は基本的には一人一人の「個人の健康」をベースに→「集団(家族・仲間等」→「地域の健康」→「国家の健康」→「世界の健康」→「地球の健康」→「宇宙の健康」へと拡大される。学校でのいじめやそれに関連しての自殺、「3.11の東日本の大震災」に温かさを見せない日本と言う国家(の政治)、南極大陸の上空のオゾン層の破壊などは果たして健康なる地球といえるのであろうか! 答えは「ノー!」である。基本的には一人一人の個人がこのような健康観の拡大に立って快食、快眠、快便、快笑に努め、赤信号では渡らないとか、他人への気遣いや季節ごとの草花に情緒を感じることも健康の概念なのである。

  • 写真1

    学食で幸せそうな表情で昼ご飯を食べる学生の表情は健康そのものです。

  • 写真2

    本部棟の入り口の花に情緒や季節感を感じることも健康の概念です。

帝京科学大学のキャッチフレーズは「いのちをまなぶキャンパス」である。各キャンパスで学ぶ本学の学生さんは勿論、我々教職員も【真に健康人】であって欲しいと願う私である。ところであなたは健康かと問われれば「勿論!」と答えたい私である。

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