教育・研究

図書館だより 第19号 2002.1.22

[目次]


映画になった作品:こんな作品あんな作品 Part2


 2001年の映画界といえば「千と千尋の神隠し」が、史上最高の興行収入、観客動員を記録したということで メディアを賑わせていました。年末になると本がベストセラーとなった「ハリー・ポッターと賢者の石」が映画化され、 こちらもヒットしているようです。今回は図書館だより第9号で特集した「映画になった小説」の第2弾をお届けします。 話題のハリー・ポッターなど数点を取り上げました。全部図書館に所蔵していますのでぜひ読んでみてください。


『ハリー・ポッターと賢者の石』  J.K.ローリング著 静山社 請求記号:933/R78

 世界中で大ブレイク中のハリー・ポッターシリーズの第1巻。孤児のハリーは叔母の家で一家全員から いじめられながら暮らしている。11才の誕生日に突然ホグワーツ魔法学校から入学許可証が届き、 両親と自分が魔法使いだと初めて知る。入学準備のために連れて行ってもらったダイアゴン横町は 初めて見る魔法の世界。そこでは誰もがハリーを知っているらしくただただびっくり。どうも額に ある稲妻型の傷が理由のようだ。期待と不安いっぱいでキングスクロス駅からホグワーツ特急でいざ 学校へ。でも、9と3/4番線ってどこ?!

 全寮制の魔法学校を舞台に、親友とともに数々の事件に巻き込まれながら成長していく魔法使いの 少年の冒険に満ちた物語。シリーズとしては全7巻の予定で刊行中。現在原作は第4巻「Harry Potter and the Goblet of Fire」、日本語訳は第3巻「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」まで刊行。

 世界46カ国以上で翻訳され刊行部数1億部(日本では280万部)の記録更新中のシリーズ第1巻のこの作品は、昨年同名で映画化され現在も公開中である。監督は「ホーム・アローン」のクリス・コロンバス、音楽ジョン・ウィリアムス、主演ダニエル・ラドクリフ。原作に忠実に作られており、SFXを駆使して表現した魔法の世界を見るだけでも楽しい。監督ならではのユーモアも随所にみられ、非常に早い展開で全体を通して飽きさせないが、展開が早すぎる部分もややあるので、できれば原作を読んでから見るほうがおすすめ。シリーズ第2巻「ハリー・ポッターと秘密の部屋」も今年中に公開予定。



『冷静と情熱のあいだ:Rosso』  江國香織著 角川書店 請求記号:913.6/E44
『冷静と情熱のあいだ:Blu』  辻仁成著 角川書店 請求記号:913.6/Ts41

 この同じタイトルの違う作家による2冊の本は、切ない愛の軌跡を女性の視点と男性の視点から描いたラブ・ストーリーである。女性の主人公あおいはミラノのジュエリーショップで働き、アメリカ人の恋人と暮らしている。一方男性の主人公順正はフィレンツェで絵画の修復士を目指していた。芽実という可愛い恋人もいる。主人公たちの現在はそれなりに幸せだった。だが、ふたりの心の奥には、「どうしても忘れられない人」が眠っているのだった...。 「あおいの30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモの頂上で待ち合わせよう。」10年も前のたわいもない冗談のような小さな約束。この"約束"が物語の軸となり、様々なエピソードを交えながらストーリーは展開して行く。
 この物語は1997年から99年まで「月刊カドカワ」に、女性側(Rosso)と男性側(Blu)、1章ごとに交互に掲載していくという形で連載され、その後2冊の単行本として発売されてから、70万部を超えるベストセラーとなった。2001年11月には映画化され、イタリアの美しい街並みの映像とエンヤの歌声が、一層この物語をロマンティックに仕上げた。映画のラストシーンは原作よりちょっと先をいく結末となっている。あおい役はケリー・チャン、順正役は竹野内豊が演じている。監督は中江功。



『吉本ばなな自選選集3.Death(デス)』吉本ばなな著 新潮社 請求記号:913.68/Y91/3
『吉本ばなな自選選集4.Life(ライフ)』吉本ばなな著 新潮社 請求記号:913.68/Y91/4

著者自らがテーマ別に選び、編集した作品集「吉本ばなな自選選集(全4巻)」。この作品集の第3巻『Death(デス)』に収録されている「キッチン」「満月-キッチン2」、そして第4巻『Life(ライフ)』に収録の「TUGUMIつぐみ」が、これまでに映画化されている。

「キッチン」「満月-キッチン2」 *単行本は1988年福武書店(現ベネッセ・コーポレーション)より刊行 著者は1987年、本作「キッチン」で文壇デビューし、「海燕」新人文学賞を受賞した。翌1988年、単行本『キッチン』は泉鏡花賞を受賞し、ベストセラー作品となった。 たったひとりの肉親だった祖母に死なれ、天涯孤独の身となった少女みかげ。彼女は生前に祖母の知り合いだったという青年雄一の誘いで、彼のマンションに住むことになる。そのマンションには、雄一の母(実はゲイの父親)えり子も同居していた...。
 この小説は、二度、映画化されている。最初は1989年、森田芳光が監督脚本を手がけ、独特の空気感のある作品に仕上げた。主人公の少女みかげを川原亜矢子、雄一を松田ケイジ、雄一の母(父?)えり子を橋爪功が演じている。そして1997年、香港に舞台を変え、登場人物の名前も変えて、イム・フォー監督のもと、再び映画化された。日本・香港合作のこの作品では、アギー(=みかげ)を富田靖子、ルイ(=雄一)をチャン・シウチョン、エマ(=えり子)をロー・ガーイェンが演じている。

「TUGUMIつぐみ」 *単行本は1989年中央公論社より刊行 単行本『TUGUMIつぐみ』は、1989年、芸術選奨新人賞・山本周五郎賞を受賞し、150万部を超えるベストセラーとなった作品である。 まりあと、その従姉妹つぐみ、つぐみの姉陽子は、西伊豆で少女時代を共に過ごしてきた。つぐみは、生まれつき体が弱く甘やかされて育ち、我が儘で口は悪く行動も粗野な少女だった。東京で大学生活を送っているまりあは、つぐみと陽子に招かれ、夏のはじまり、高校までの時代を過ごした西伊豆へ渡った。そして、彼女たちは、良き夏を共にするもう一人の仲間恭一と出会ったのだが...。
 1990年、市川準監督のもと映画化されたこの作品は、毎日映画コンクール監督賞、及び、報知映画賞<監督賞>を受賞した。つぐみを牧瀬里穂、まりあを中嶋朋子、陽子を白鳥靖代、恭一を真田広之が演じている。



 雑誌のタイトル入れ替えについて


2002年から下記の外国雑誌を新規購入します。
  • Avian Diseases
  • Biology of Reproduction
  • Canadian Journal of Zoology
  • Endocrinology
  • Environmental Science and Technology
  • Green Chemistry
  • IEEE Communications Letters
  • IEEE/ACM Transcations on Networking
  • Infection and Immunity
  • Journal of American Chemical Society
  • Journal of American Veterinary Medical Association
  • Journal of Infectious Diseases
  • Journal of Wildlife Management
  • Poultry Science
  • Trends in Pharmacological Sciences
  • Wildlife Society Bulletin


2002年から下記の外国雑誌の購入を中止します。
  • American Ceramic Society Bulletin
  • Ceramic Engineering and Science Proceedings
  • Ceramic Source
  • Journal of American Ceramic Society
  • Macromolecules
  • Materials Science in Semiconductor Processing
  • Physical Review B
  • Solid-State Electronics



■ ■ ■ Q&A ■ ■ ■

Q 博士・修士論文を図書館で見ることができますか?  

A はい。1階の書棚に施錠して保管してありますので、閲覧したい時はカウンターへお申し出ください。カウンターには所蔵リストも用意してあります。尚、貸出はしていません。



リレーエッセイ  ふたこと・みこと



「読書を楽しもう」      

バイオサイエンス学科助教授 河原井 晶裕


 「読み、書き、考えることは、教養の涵養に中心的な役割を果たす」と国語力の重要性が強調され、読書の習慣をなんとか身に付けさせようという動きが目立ってきている。情報が無節操に、洪水のようにあふれだし、その流れに身をまかせて受身の情報に追われる今日、読書をする大切さがますます増していると思う。
 読書というものは個人的な行為であるから、何のために読書をするのか、どのように本を読むべき かと考えることもない。親しめない作家もいるし、素直に読んでいける作家もいる。ことさら読書す ると構えることなく、手当たり次第に読んでみればよいと思う。本を読むことによって、自分の力で ものを理解するという習慣が身につく。人間とはどのようなものなのかを、人間としてどのように生きるべきなのかを与えてくれる。
 日本文学、とりわけ純文学に対する興味がこれまでにない速度で失われていくことを感じます。せ っかく日本に生まれてきたのですから、日本語の美しさ、言葉の確かさを味わってほしい。本学図書 館の蔵書には日本文学のコーナーは少ないのですが、それでも年々増えてきています。現代の漱石と もいわれる村上春樹や吉本ばななの作品群は楽しく読めると思います。もうすぐ春休みです。この機 会に、日本文学作品をじっくり読んでみませんか。
 心と時間に余裕のある時は、図書館でじっくり遊んで良い書物を選び読んでください。何度も読み 返すことができる作品と出会えることは素晴らしい。学生時代に読んでわからなかったところが、三 十代になるとわかる。四十代になると同じ本からまた新たな発見をする。そんな本は大きな財産です。読書は楽しいものです。時間のある学生時代、図書館をできるだけ有効に活用して本に親しみ、自分の感性を豊かにし磨いてください。


お知らせ

[臨時休館について]
1月30日(水)~31日(木)は本学入学試験のため休館します。
3月18日(月)は卒業式のため休館します。
[春期休業に伴う開館時間の変更について]
1月29日(火)~4月8日(月)の期間は開館時間が変更となります。
月~金 9:20~17:00
土   9:20~12:30
[春期休業に伴う長期貸出について]
1月25日(金)~3月30日(土)の期間は図書の長期貸出を行います。
返却日:4月13日(土)
貸出冊数:通常通り
[学部業・大学院修了見込みの方へ]
図書の最終貸出日は3月8日(金)です。
最終返却日は3月9日(土)です。