図書館だより 第21号 2002.7.18
[目次]
調査研究をすすめていくうえで、過去の文献を収集しないで研究をすすめることはできません。その文献収集の方法もインターネットが普及してからこの数年で大分変化してきました。今回は論文やレポートを書くにあたり、図書館とインターネットを利用して効率よく文献を収集する方法をご紹介します。図書と雑誌論文では検索の手順が異なりますので、以下にこの両者に分けて文献の探し方を説明します。
<図書の探し方>
まず必要な図書が当館で所蔵しているか調べるためOPACを検索します。あらかじめ探したい資料の書名や著者名がわかっている場合は、それらをキーワードとして検索します。調べたいテーマはわかているが、どのような資料があるのかわからない場合は、学術用語や主題などをキーワードにして検索します。検索結果がゼロだったり、もっと網羅的に調べたいときはWWWに公開されているページを検索してみましょう。下記の紹介ページ以外にもさまざまな図書検索サイトがあります。当館ホームページ[学術情報へのリンク]→[図書検索]にアクセスしてご利用ください。
WWW | NACSIS-Webcat http://webcat.nii.ac.jp 全国の大学図書館が所蔵する図書・雑誌を検索することができます。 |
Web-OPAC http://webopac2.ndl.go.jp 国立国会図書館が所蔵する図書を検索することができます。 |
<雑誌記事論文の探し方>
学術雑誌に掲載された論文を探すためには、抄録データベースを利用します。抄録データベースは冊子体、CD-ROM、WWWなどの形態で存在します。研究テーマの分野や言語、どのくらい古くまで遡って検索したいかなどによって使い分けます。
どの媒体を利用するにしても、検索はキーワードで行います。研究テーマに関し、どのような論文がいつどの雑誌のどこに掲載されたかという情報を集めます。
WWWは下記のほかにも、当館ホームページ[学術情報へのリンク]→[雑誌論文検索]に有用な検索サイトへのリンクがはってあるので利用してください。
WWW | PubMed http://www3.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi 米国医学図書館の医学文献抄録データベース。「Index Medicus」「Medline」のWWW版。 |
High Wire http://highwire.stanford.edu/cgi/search/ スタンフォード大学の電子ジャーナル検索データベース。Medlineも同時に検索できます。医学、科学、社会学。 |
|
Ingenta http://www.ingenta.com/ 科学分野を中心とした約2500誌の雑誌論文を無料で検索できます。 |
|
Infortrieve Article Finder http://www4.infotrieve.com/search/databases/newsearch.asp Infotrieve社の抄録データベース。全分野。ドキュメントデリバリーの会社だが検索は無料。 |
|
CD-ROM | Current Contents 抄録データベース。一年ごとの検索。下記の年代を当館で所蔵しています。 農学・バイオ・環境系、電子工学系、物理・化学・地球科学系・・・1995年~2002年 生物・生化学系・・・1995年~1998年 |
オンライン検索 | 有料データベースのオンライン検索 図書館員が代行して検索しますので、カウンターで相談してください。 |
論文によってはWWWで無料配布されているものもあります。目当ての論文が掲載されている雑誌のホームページにアクセスしてみてください。雑誌によっては過去の論文の情報ばかりでなく、これから出る論文の情報が得られる場合もあります。雑誌のホームページを探すにはPublist.com(http://www.publist.com/)を利用すると便利です。当館のホームページ[電子ジャーナル]も各雑誌のホームページへリンクがはってありますので利用してください。
●参考文献や抄録データベースの記述の読み方例
学術文献には必ずその論文を書くにあたって参考にした文献が掲げてあります。この参考文献も活用しましょう。参考文献も抄録データベースと同じように記述されています。
1) Nagata C, Takatsuka N, Kawakami N, Shimizu H.←著者 A prospective cohort study of soy product intake and stomach cancer death. ←論題 Br J Cancer. 2002 Jul 1;87(1):31-6 ↑ ↑ ↑ ↑ 雑誌名(省略形) 年 卷(号) ページ *雑誌の正式名称は「Periodical title abbreviations : by abbreviation」[請求記号 027.5/A41/1](参考図書)で調べましょう! 2) 長塚隆, 情報管理, 29(5), 421(1986) ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 著者 雑誌名 卷(号) ページ 年 3) 安田康ほか、"新農薬の開発と市場展望", シーエムシー (1987), p.4 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 著者 書名 出版者 出版年 ページ 4) http://www.ukoln.ac.uk/metadata/biblink/ (last access 2002.6.6) ↑ ↑ ホームページアドレス 最終参照日(この時点でのページの存在と内容であることを意味する。) |
●図書館ホームページは文献探索の強い味方です
当館ホームページ(http://www.lib.ntu.ac.jp:8080/)には、情報収集に役立つサイトや情報そのものを提供するサイトへのリンク集が用意されています。
項 目 | 内 容 |
蔵書検索(OPAC) | 学外からも利用可能な本学のWWW版OPACです。 |
電子ジャーナル | WWW上で雑誌論文が提供されており、無料で抄録もしくは全文を閲覧できるジャーナルサイトへのリンク集です。雑誌タイトルのアルファベット順にまとめられています。 |
学術情報へのリンク 図書館 |
図書館等へのリンク集です。OPACが利用できるサイト、各大学や研究機関の研究報告などが収集・提供されているサイトもあります。 |
学会・官公庁 | 学会・官公庁等へのリンク集です。政府刊行物、研究報告、統計や有用なデータベース等が提供されているサイトもあります。 |
図書検索 | 図書を探すにはこちらから! キーワード等から、図書を検索することができるサイトへのリンク集です。 |
雑誌論文検索 | 雑誌論文を探すにはこちらから! WWW上で抄録データベースが提供され、無料で雑誌論文が検索できるサイトへのリンク集です。 |
各種データベース | 無料で公開されている各種データベースへのリンク集です。各分野別にまとめられています。 |
新聞・ニュース | 新聞社等へのリンク集です。無料で新聞記事を検索できるサイトもあり、過去の記事まで遡って調べるとき、特定のテーマの記事を集めるとき等に大変便利です。 |
今年度もフレッシュセミナーの一貫として、4月~6月にかけてゼミ単位の図書館ガイダンスを実施し、473名の新入生が受講しました。このガイダンスが新入生の図書館活用の一助となることを願っています。受講生の皆さまからのご意見・ご感想をお待ちしております。
「私が薦める一冊」
環境マテリアル学科教授 栗林 清
江戸末期から昭和初期頃までの歴史や、そこに暮らした人間像に興味があり、それらのことを書いた小説や歴史書を好んで読むことが多い。なかでも、最も好きな作家は司馬遼太郎で、彼の作品は大半読んでいるのではないかと思う。 司馬作品のいいところは、事前調査が十分行なわれており、時代考証がしっかりしているので、登場人物を実物大で見ているのではないかと思える点である。特に「坂の上の雲」「翔が如く」「菜の花の沖」「胡蝶の夢」などは、ある意味で歴史書を読んでいるような感じさえして、楽しく歴史を勉強することができて実に良い。このなかでも「坂の上の雲」は、調査、思索に5年、書き始めてから書き終わるまでに5年の計10年を要した作品であり、まだ読まれてない方には是非推薦したい一冊である。
この物語は、日露戦争を中心として書かれたものであるが、日本が維新後、欧米先進国に追いつくため必死になり欧米文明を取り込み、国力を増強して行った様子や、日清戦争に勝利し自信を持つようになり、そしてついには、本来勝てるような戦争でない日露戦争 へと進まざるを得なかった日本の状況(日本には戦争をするためのお金さえなかった)、そのような状況で日本の指導的立場にいた人々が如何に考えたか、などが実に興味深く書かれてある。バルチック艦隊に対し圧倒的勝利を挙げたことはあまりにも有名な事実であるが、陸戦においては、その勝利がロシア側指導者の面子争いと皇帝の顔色だけをうかがった作戦の失敗によってもたらされた薄氷を踏むような勝利だったこと、勝利というよりただ少し優勢だっただけで、戦争が長引けば間違いなく日本が悲惨な結果になることを見越して戦争の止め際を考え、準備をしていた日本の指導者。日露戦争が昭和の太平洋戦争とは全く違った戦争であったことがわかる。ただ、明治政府は日本が紙一重で負けていたということを国民に明かしはしなかった。日本がリアリズムを失い、おかしな方向に進んでいくのは、この戦争後からではないかと思う。
Q 家から持ってきたビデオをITスクエアで見ることはできますか?
A ITスクエアで見ることができるビデオ、DVDは図書館所蔵のものに限ります。利用規則を守り、活用してください。
●「指定図書コーナー」ができました。
講義細目に掲載されている教科書をあつめました。このコーナーの図書の貸出は2冊、3日間です。
●図書館1階のコピー機が1台になりました。
学生食堂にコピー機が2台設置されたのを機に、従来2台あった図書館のコピー機を1台に減らしました。図書館のコピー機は著作権法第三十一条に基づき図書館資料の複写サービスを行う目的で設置されています。ですから図書館資料以外の資料(例えば個人のノート等)をコピーする場合は、学生食堂等のコピー機をご利用ください。ご理解とご協力をお願いします。
●夏期休業中の開館時間について
・期間:7月31日~9月20日
・時間:平日 9:20~16:30
土曜 9:20~12:00
・臨時休館:8月13日~8月16日
●夏期休業に伴う図書の長期貸出について
・対象:学部学生、大学院生
・期間:7月26日~9月14日
(大学院生は8月29日まで)
・返却日:平成14年9月28日
・貸出冊数:通常通り