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第65回「四月の熱意」(2012.5)

准教授 旦 直子

准教授 旦 直子

  今この原稿を書いている机の窓からは満開の桜の花が見えています。今年は例年よりも開花が遅く、新入生の入学の時期を待ってくれていたかのようです。温かくなり、きれいな花が咲くと気分もうきうきしてきますね。

  私は小学生の頃、休み時間と給食を何よりも楽しみにしている子どもで、教科書を開くのはあまり好きではありませんでした。でも、4月になってもらう新しい学年の教科書だけは特別でした。まだ折り目も全くついていなくて、ときどき裁断くずがついていたりする、いかにもできたてのほやほやという感じの教科書を大事にランドセルに入れて持ち帰り、帰宅すると急いで自分の部屋に入って、そうっと新しい教科書をめくってみたものでした。私は物語を読むのが好きだったので、真っ先に開くのは国語の教科書でした。窓越しに差し込む柔らかな春の日差しの中で、まだ新しい教科書に折り目をつけないように気をつけながら、新しく出会う物語を読みふけっていたのを思い出します。

  不思議なことに、あんなにもワクワクドキドキした楽しい気持ちで教科書を開くことができたのは私の場合年に一回、四月の時期だけでした。学年の途中で教科書が上巻から下巻になるときはなぜかそれほどワクワクしなかったのです。

  昔、NHKのテキストの宣伝で“四月の熱意、応援します”というコピーがあり、思わず笑ってしまったことがあります。確かに四月は何だかやる気がみなぎっていろいろなことにチャレンジしたくなりますよね。普段は敬遠したくなる教科書すらも楽しくさせてしまう春。(たとえそれが一過性の熱意であっても)新しいことにチャレンジしてみるのもよいかもしれません。



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