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第100回「三つの「アリとキリギリス」」(2013.9)

教授 上野 行一

教授 上野 行一

  イソップ童話「アリとキリギリス」の三つのバージョンです。あなたはどのお話に賛同しますか?

 

(その1)

  春から夏そして秋の間、アリは冬に備えてせっせと食べ物を巣に運んでいました。その姿を横目にキリギリスは毎日歌を歌い遊んでばかりいたのです。やがて季節は冬となり、あたりは一面の銀世界。食べ物もなく困ったキリギリスはアリを訪ねて行きました。しかしアリは、「僕たちが働いていた間、君は遊んでいただろう?こんな風になったのは君自身が悪いからだよ」と言って、キリギリスを追い帰しました。食べ物をもらえなかったキリギリスは路傍に倒れ死んでしまいましたとさ。

 

(その2)

  春から夏そして秋の間、アリは冬に備えてせっせと食べ物を巣に運んでいました。その姿を横目にキリギリスは毎日歌を歌い遊んでばかりいたのです。やがて季節は冬となり、あたりは一面の銀世界。食べ物もなく困ったキリギリスはアリを訪ねて行きました。アリは、「僕たちが働いていた間、君は遊んでいただろう?こんな風になったのは君自身が悪いからだよ。来年からは僕たちを見習うんだよ」と言って、キリギリスに食べ物を与えました。命を取り留めたキリギリスは自分のおこないを後悔し、春になったら働き始めたとさ。

 

(その3)

  春から夏そして秋の間、アリは冬に備えてせっせと食べ物を巣に運んでいました。その姿を横目にキリギリスは毎日歌を歌い遊んでばかりいたのです。やがて季節は冬となり、あたりは一面の銀世界。食べ物もなく困ったキリギリスはアリを訪ねて行きました。しかしアリは、「僕たちが働いていた間、君は遊んでいただろう?こんな風になったのは君自身が悪いからだよ」と言って、キリギリスを追い帰しました。キリギリスは路傍に倒れ死んでしまいましが、その顔には今まで精一杯生きた満足の笑みがあふれていました。冬は思ったより厳しく長く、アリの運んだ食料は尽きてしまいました。食べ物がなくなったアリは、「僕の人生は何だったんだろう」とつぶやき死んでいったとさ。

 

  (その1)は最も原作に近いお話です。(その2)はある意図をもって改変されたお話です。(その3)は学生が作ったお話です。

  どのお話に賛同するかは、その人の人生観や倫理観を反映しています。子どもに考えさせるといろんな意見が出てきておもしろいですよ。

  お話はこの三つがすべてではありません。あなたならどんな「アリとキリギリス」を作りますか?



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