TEIKAジャーナル

【作業療法学科】 作業療法での楽器の治療的応用

2020/06/17

作業療法学科の大関です。
 作業療法学科では、1年時に沖縄三味線である「三線」を手づくりし、弾き語りができるように練習し、発表しています。作業療法を受ける患者様には、心の病を持つ人、不登校や引きこもり、薬物など非行行為、発達障害などを背景にもち、言語コミュニケーションを苦手とする人がいます。そのような人は、言葉でうまく自己表現したり思いを伝えたり、説明や説得することが苦手で、その結果、自信を失ったり、社会や他者への期待や信頼を持てないことがあります。
 言葉で、コミュニケーションをうまく取れるような訓練も重要なのですが、如何せん苦手意識は強いので敷居が高くなりがちです。そのような場合、楽器が自己表現や他者との交流や共感、信頼関係を導いてくれることがあります。自分の気持ちを楽器は外界に出し、他の人の楽器とハーモニーを奏でることで共感し、共感できる奏者とは信頼関係が築かれていきます。そういう人には、楽器は言葉と同じくらいの言語になり得ます。楽器を学ぶことは、英語を学ぶのと同じように、別のコミュニケーションツールを獲得することになるのです。
 以前、ある病院の院長から「作業療法士は魔法使いみたいだね!」と言われたことがります。いろいろな可能性を引き出し、薬では治せないことも作業療法士ならどうにかしてくれると他部門の人たちが思ってくれているようです。

 
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