植物大好き研究室
当研究室はアオウキクサ(夏の水田に浮かぶ5mmほどの小型の種子植物、図参照)を研究材料として、植物が花をつけるメカニズムを研究しています。
多くの植物は決まった季節に花を咲かせます。例えば、ナノハナは3,4月に、アヤメは5月、アサガオは7,8月、キクは10,11月です。これは植物が季節を感じているためです。人間は暦で季節を知りますが、植物は太陽の運行で季節を感じています。日本では春から夏にかけて昼間の時間が長くなり、夏から冬にかけて短くなります。植物は実際には夜の長さを測定し、アサガオなど夏に咲く植物は、夜の長さがある時間より長くなると蕾を作り始めます(夏至を過ぎると夜の時間が長くなります)。逆に春咲くナノハナなどは、夜の長さがある時間より短くなると花をつけ始めます。
このような現象は1920年代に発見されたのですが、植物が夜の長さを測定した後、細胞内でどのような反応が起こっているかについてはつい最近までほとんど解明されていませんでした。
当研究室では、アオウキクサに花を咲かせる物質、サルチル酸が細胞内のカルシウム濃度を高める事を発見しました。このカルシウム濃度の高まりが合図となり、一連の反応が起き、花を作る遺伝子群が発現し、蕾が形成されると考えています。アサガオでも、夜の長さが長くなると細胞内のカルシウム濃度が高くなることが示唆されています。
このように、花が出来るときの細胞内の最初の出来事の一つがカルシウム濃度の高まりと考えています。現在、カルシウム濃度の高まりによって、その次に何が起こるのかについて研究しています。
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アオウキクサ |
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