帝京科学大学バイオテクノロジー研究センター Teikyo University of Science & Technology Bio Technology Research Center
home
ご挨拶 交通アクセス 施設 プロジェクト メンバー 研究報告 コラム
岩瀬研究室
 
受験生の皆様へ 在校生の皆さんへ 研究室ホームページ  
 

ゲノムケミストリーで活躍しよう。

研究の方針:なぜ新機能をもつ人工核酸を創成するのか
  ゲノムケミストリーとは、化学を活用してゲノムサイエンスを探求していこうという研究分野です。ヒトのゲノム配列の解読が終了して、現在はゲノムの配列に書き込まれたタンパク質の情報が、体内のどこで、いつ、そしてどれだけ利用されるかを巧みにコントロールしている仕組みの解明に研究段階がシフトしています。このような仕組みが明らかになると、生命の本質を深く理解できるようになるとともに、病気の治療や予防に役立ちます。私たちの研究室では、主に有機化学、物理化学、生化学を基礎として、ゲノムケミストリーに関する研究を行っています。AとT(U)、GとCというとてもシンプルな核酸塩基の分子認識は皆さんよくご存じでしょう。この生き物の巧みな分子認識機能をベースに置き、より高い機能性を持つ人工核酸をデザインしてそれを合成する研究を展開しています。合成した新しい人工核酸の機能評価についてもこれから大いに挑戦していく予定です。私たちは、これらのゲノムケミストリー研究の経験を通して、バイオサイエンスについての理解を深め、研究を遂行していくための実力を養い、そしてゲノムサイエンス分野の進展に少しでも貢献することを目指して、日々がんばっています。

研究室での活動
  毎日の研究活動を1週間ごとに週間報告書でまとめ、それをもとにデイスカッションするというスタイルで研究活動を進めています。研究テーマは一人ずつ異なり、責任もって担当します。成果は日本化学会年会やその他のシンポジウムで学会発表し、論文を書きます。自分たちの研究に加えて、国内外の研究グループの研究を参考にして新しいアイデアを生み出すため、雑誌会で論文紹介を行って情報収集を行います。試薬・器具・機器管理、セミナー・リクレーションプランニングなど、全メンバーが積極的に役割分担して、円滑な研究室活動に貢献しています。
  「実験を楽しむ!」が、この研究室のモットーです。

研究内容

 

大テーマ1:アミド結合型人工RNAを応用した新しい遺伝子機能制御物質の創成

最近RNAによる遺伝子制御が注目を集めています。このような用途に用いる長さの比較的短いRNAは化学合成が可能です。しかしRNAは核酸分解酵素の働きでたやすく壊れてしまうため、取扱には細心の注意を払う必要があります。そこで、壊れにくく取扱が容易な人工RNAの開発が、RNA研究のツールやRNA医薬として望まれています。私たちは、RNAのバックボーンのリン酸骨格をアミド骨格に置き換えた人工RNAの研究に取り組んでいます。これにより、RNAの特質を維持しながら核酸分解酵素に対して耐性があり取扱やすい機能性人工RNAの創出を目指しています。具体的には、アミド結合型RNAを簡便に効率よく固相合成する方法の構築、アミド結合型RNAの化学的、生化学的性質の解明、遺伝子制御物質としての機能について研究を行っています。

 

 
 

大テーマ2:遺伝子機能を光で操る光スイッチ型遺伝子制御物質の構築

ヒトゲノムの塩基配列の解読終了により、配列に書き込まれたゲノムの機能をネットワーク的に解明していく研究段階に入りました。このような研究において、オリゴヌクレオチドを用いた特定遺伝子の機能抑制方法であるアンチセンス法やsiRNA法が活用されています。このアンチセンス法やsiRNA法による特定遺伝子の機能制御が、さらに時間的あるいは空間的に任意にコントロールできるようになれば、ゲノム機能の研究のための有力な手段になるでしょう。私たちは、「光を当てる」という手段を用いてオリゴヌクレオチドによる遺伝子制御を時空間コントロールする方法の構築に取り組んでいます。具体的には、光切断性保護基という帽子をかぶったアンチセンス核酸などを作り、光を当ててその帽子を取り外すことによりアンチセンス核酸としての機能を光誘導するという方法の創出を研究しています。

 

 
 
大テーマ3:遺伝子診断プローブとしての新しい蛍光修飾RNAの創成

ヒトゲノムには、AGCTの4種類の塩基が約32億個並んでいます。このうちたった1.5%にあたる塩基の並びが「遺伝子」と呼ばれるタンパク質を作る情報を担った部分です。残りの配列から転写されたRNAは、これまで役に立たないがらくた扱いでしたが、最近は一変して、ゲノム情報発現ネットワークにおける制御分子として重要な役割を演じているらしいという考え方が注目を集めています。このような状況から、遺伝子検出の対象が、従来のDNAに加えてRNAに広がりつつあります。標的RNAと結合すると検出可能な信号を発することのできるRNAプローブは、複雑な3次元構造をもつmRNAの中からアンチセンス核酸やsiRNAが結合しやすい一本鎖部位を探し出す方法として活用できるでしょう。また、RNAプローブは、一塩基多型(SNP)解析、あるいはmRNAやミクロRNAを細胞内で検出する試薬として、様々な応用が期待されます。これまでに、ピレンという蛍光剤で修飾したRNAプローブは、標的RNAとA型二重らせん構造を形成すると、ピレンがらせんの溝から突き出た配置をとるために強い蛍光シグナルを発することから、RNAの検出に有用であることを、兵庫県立大の山名先生、京都工繊大の村上先生との共同研究により明らかにしてきました。しかし、このピレン修飾プローブの発光強度の増加現象はまわりの塩基配列に影響されやすいため、この問題点を解決してより汎用性のあるピレン修飾核酸プローブを開発しようと研究に取り組んでいます。具体的には、プローブのピレン周辺の立体構造をあらかじめA型二重らせん構造様に規制した新しいピレンプローブの合成とその蛍光発光の性質について検討しています。
 
| トップ | ご挨拶 | 交通アクセス | 施設 | プロジェクト | メンバー | 研究報告 | コラム | サイトマップ |
  COPYRIGHT(C)2007 BIOTECH RC ALL RIGHTS RESERVED.