ゲノムの機能の解明や核酸医薬、遺伝子診断に役立つ新しい核酸分子のデザインと合成に挑戦
ヒトゲノムには、DNAのAGCTの4種類の塩基が約32億個並んでいます。このうちほんの数%が「遺伝子」と呼ばれ、タンパク質を作る情報を担っています。そして残りのDNA部分の多くは、役に立たないがらくた扱いでした。しかし、最近は一変して、そのがらくた扱いのDNA部分からもRNAが作られ、それらが遺伝子の機能を制御する役目をもっているのではないかということが注目を集めています。私たちの研究室では、mRNAにくっついてタンパク質の生産を阻害できる、機能性RNAの化学合成研究をしています。生体内環境下でこわれにくく、細胞内に入りやすく、そしてねらったmRNAを効率よく阻害できる機能をもつ修飾RNAをつくることが目標です。
また、標的RNAと結合すると蛍光の光を発する修飾RNAを化学合成する研究も行っています。この蛍光発光性修飾RNAの研究は、複雑な3次元構造をした mRNAの中から人工核酸が結合しやすい一本鎖部分を探し出す方法、一塩基多型(SNP)解析、mRNAやマイクロRNAを細胞内で検出する試薬などへの応用を目指しています。
そのほかに、光を使って遺伝子機能を時空間制御できる人工核酸の開発研究を行っています。
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