教育・研究

図書館だより 第4号 1997.11.5

[目次]



文献探索とその入手:論文を書くために

 卒業論文などを書くにあたって、「どうやって文献を収集したらよいのだろうか。」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。膨大な文献の中から効率よく必要なものを探し、入手する方法をご紹介します。

文献の探し方

 研究テーマが決まったら、そのテーマについて過去にどんな文献が発表されたかを調べましょう。単行書と雑誌論文では検索の手順が異なります。雑誌論文はいきなりOPAC(オンライン目録)を検索しても見つかりません。まず抄録誌等を検索し、欲しい論文を見つけた後、その論文が掲載されている雑誌を探すという手順を踏みます。

<単行書>
図書館1階に設置されているOPAC(蔵書検索システム)から、学術用語や分野名等のキーワードを入力して参考になりそうな本が当館にあるか検索してみましょう。見つからない場合やもっと網羅的に調べたいときは、WWW上に公開されている学術情報センターの総合目録データベースや各種出版情報サービスのページも検索してみましょう。(本学図書館のホームページにリンク集があります)
 
<雑誌論文>
雑誌論文を調べるには抄録誌や索引誌を使います。抄録誌や索引誌には、どのような論文がどの雑誌に掲載されたかが記載されています。Subjects Indexを使ってキーワードで検索します。冊子体でもCD-ROMでもキーワードで検索するという方法は同じです。当館には次の抄録誌があります。

媒体タイトル所蔵年
冊子体 Physical Abstracts (物理系の英語論文)
Ceramic Abstracts (セラミックス関係の英語論文)
1989年~現在まで
1989年~現在まで
CD-ROM Current Contents (生化学,医学,農学,化学,物理学の英語論文)
Medline (医学の英語論文)
科学技術文献速報 (日本語論文)
1995年~現在まで
1989年~現在まで
1997年



 また、抄録誌ではありませんが、Methods in Enzymology という論文集にどのような論文が掲載されたかがわかるIndex (CD-ROM)もあります。
さらに、オンライン検索も利用できます。ただし、こちらは図書館員が代行して検索しますので、カウンターで申し込んでください。申し込む際には、論文の言語や、調べたい内容についてのキーワード等を詳しく教えてください。
その他、WWWでもいくつかデータベースが無料で公開されています。(本学図書館のホームページにリンク集があります。)

<その他>
 WWWの各サーチエンジンを検索すると、他大学や他研究機関、各学会等の研究報告のページが見つかる可能性もあります。そこで紹介されている文献も参考にしてみてください。

---------- 参考文献や索引誌の記述の読み方---------

 学術文献の章末または巻末には、ほとんどの場合、参考文献が記されています。これは著者が主張の裏付けとして取り上げ、評価している文献ですので、役立ちそうなものには当たってみましょう。
 参考文献も索引誌も一定の法則に従って記述されています。以下にその読み方を説明します。実際に文献を入手しようとする時に必要な情報ですから、しっかり覚えましょう。

記述例



文献の入手法
 次に「文献の探し方」で見つけた文献を手に入れましょう。

<単行書>
 読みたい本が図書館に無い場合、購入のリクエストをすることができます。
「購入希望図書申込書」に記入してカウンターで申し込んでください。購入の可否については検討しますが、研究や学習に利用する資料はなるべく購入することにしています。また、当館に無い場合や絶版や品切で購入できない場合は、参考図書以外の学術図書は、他大学から借りることができます。「相互利用申込書」に記入してカウンターで申し込んでください。

<雑誌論文>
読みたい論文がどの雑誌に掲載されているかわかったら、その雑誌が当館にあるかどうか確認します。OPACまたは「帝京科学大学雑誌所蔵目録」で雑誌名から検索すると、所蔵している巻号とそれらが刊行された西暦年がわかります。配架場所は、今年と昨年発行されたものは1階の雑誌架、一昨年以前のものは3階です。1階でも3階でも、国内で発行されたものと、海外で発行されたものに分けられ、各々雑誌名のABC順に並んでいます。
 所蔵されていない論文は、コピーを取り寄せることができます。但し、コピー代と郵送料の実費がかかります。「相互利用申込書」に必要事項を記入して、カウンターに申し込んで下さい。約1週間で届きます。
 大至急必要な時には、その論文の掲載されている雑誌を所蔵している図書館へ直接行くこともできます。その場合、紹介状が必要となりますので、カウンターに申し出て下さい。

 また、学術雑誌を多数所蔵している公共図書館や一般に公開している専門図書館もありますので、それらも利用しましょう。

*公共・専門図書館案内

図書館名/電話/交通機関休館日特  徴
東京都立中央図書館
03-3442-8451
地下鉄日比谷線広尾駅歩8分
第1木曜、第3日曜 資料はかなり充実している。特に雑誌は和雑誌8590種、洋雑誌961種を所蔵している
東京都緑の図書室
03-3207-5248
JR高田馬場または新大久保駅歩12分
月曜、第1金曜 植物、都市計画、環境、動物に関連するものがそろっている。
神奈川県立川崎図書館
044-233-4537
JR川崎駅歩15分
月曜、祝、毎1日 科学技術全般の図書、雑誌、及び会社史特許公開類が充実している。
コンピュータ・サロン(富士通)
03-3445-4106       
JR山手線五反田駅歩5分
日曜、月曜、祝
第1,4,5土曜
コンピュータ関連が中心。内外企業の研究の技術レポートから学会の研究誌までそろっている。要事前連絡。
経済広報センター広報ライブラリー
03-3201-1416
地下鉄大手町駅歩3分
土曜、日曜、祝
月末
企業発行の資料が充実している。
証券広報センター証券情報室
03-3667-2754       
地下鉄茅場町駅歩1分
土曜、日曜、祝 上場会社、店頭登録会社に関する資料がある。新聞の切り抜きが充実している。
ワールドマガジンギャラリー(マガジンハウス)
03-3545-7227       
地下鉄日比谷線東銀座駅歩1分
土曜、日曜、祝 最新の世界50数カ国の雑誌1000種以上を手にとって見られる。ファッション、スポーツ、生活分野が中心。


(出典:「専門情報機関総覧1994/専門図書館協議会調査統計委員会編」他 )



■ ■ ■ ■ ■ Q&A ■ ■ ■ ■ ■

 Q 忘れ物届いてませんか?


A 親切な方に拾われた幸運な忘れ物・落し物は、届けられた当日中はカウンターで保管し、次の日に本館棟の教務課へ引き渡すことにしています。
*忘れ物・落し物をしないよう、所持品には十分注意してください。


 Q 「参考図書」って何ですか?借りることはできますか?


禁帯出マーク A OPACを検索すると、所在が「参考図書」になっている図書があります (配架場所は、『図書館利用案内』を参照してください)。これらは、 辞典,辞書,年鑑等各種調査に使う資料ですので通常の貸出はできません。ただし、閉館時間の30分前からオーバナイト貸出(翌日の午前10時までに返却)を受付けています。希望される方は「Over Night貸出票」に記入しカウンターで手続きをしてください。  



リレーエッセイ ふたこと・みこと

 このコーナーでは教職員の方々の「図書館」や「本」にまつわるエッセイを掲載していきます。 


「図書館の想い出」         

バイオサイエンス学科教授 熊倉 稔


 最近の大学の図書館は、利用者にとって大変便利に運営されていると思う。私も学生時代は、図書館にたびたび通って専門書などを閲覧したり、卒業研究では文献調査などをしたものであるが、その際非常に不便を感じていた。
 その当時は、典型的な事典などは、閲覧室の書棚に置いてあって、利用者が自由に手にとって見ることができるのであるが、専門書・洋雑誌などは書架に並べていないのである。本を閲覧しようと思ったならば、カード目録で閲覧しようとする本を探し、閲覧申込書に記入して、図書館の係員に提出するのである。すると、係員が書庫から探してきて利用者に渡すという閉架式という方式であった。その場合、カード目録で調べた本が目的に合ったものであればよいが、カードで調べたのみでは本当に調べたいと思っている内容が記載されているか否か、なかなか分からないのである。従って、目的の本に合うまでカード探しをしなければならなかった。
 しかし、最近の図書館では利用者が見ようとする本を書架で探して、手にとって見ることができる開架方式なので、大変便利である。また、コンピュータによる検索も可能であり、この分野の発展ぶりは驚異である。今でも、国立国会図書館などに行くと閉架方式であるので、大変であるが懐かしい感じがする。現在、大学の図書館は以前に比べて利用者にとって便利になっているのであるから、学生の積極的な利用を勧めたい。
(写真は著者とは特に関係ありません。)



困った人たち!?   その1.カウンターにて

 私たち図書館員がカウンターにいるとき困るのが、黙って本を差し出す学生さんです。返却なのか貸出期間の延長なのかわからないのです。私達にも至らない点は多いでしょうが、お互いに気分良くコミュニケーションできることが何よりと思います。もっと積極的に対話していただけると助かるのですが。
 他にも、こんな「困った人たち」がいます。

 「~先生が...の本がここにあるって...」,
 「~が届いたって...」   (小学生じゃないんだから、述語までちゃんと言いましょう)

 「~の教科書ありますか。」 (毎年いらっしゃるのですが、教科書販売所は図書館の裏です)

 「両替してください。」    (図書館は両替所ではありません)


Information



雑誌製本状況
年末年始の休館日
1996年発行の和雑誌は只今製本中です。1998年1月中旬頃から、利用できるようになります。
1997年12月27日(土)~1998年1月5日(月)は休館です。尚、冬休み中の開館時間は別途掲示板にてお知らせします。