TEIKAジャーナル

第49回「ビオトープという言葉を知っていますか?」(2011.11)

2011/10/28

ビオトープという言葉を知っていますか?小学校、中学校に学校ビオトープがあったという人もいるかもしれません。ビオトープ(biotop(e))とは、生き物(bios)と場所(topos)を組み合わせた言葉で「特定の生物群集が生存できるような、特定の環境条件を備えた境界を有する生息場所」と定義されています。

学校に設置されているビオトープは地域の自然(または、今は失われているが、本来そこにあったであろう自然)の「見本園」という位置づけですが、人為的に作り出すことのできる自然は限られています。また、そもそもビオトープとは、人工的に“自然な”環境を造成することではなく、地域の生態系の保全によって生物の多様性の維持・回復を目指すものとされています。ビオトープの整備、つまり現状の自然を残しながら手を入れて管理してゆくことによって、多種多様の植物が繁茂し、多種多様の生き物のすみかが再び生まれるのです。

ビオトープは多様な生き物のゆりかごとなるわけですが、一つ手ごわい問題が持ち上がります。外来種の問題です。ビオトープを管理しようとすると、外来生物を「排除」しなければなりません。外来種はもともとその地域に生息していなかった植物や生き物だからです。多様な生き物が互いに影響を及ぼしあいながら1つの生態系を形成しているわけですが、日本在来の生態系を保全したいと思ったとき、アメリカザリガニやウシガエルなどの外来種は邪魔者とされているのです。「排除」とはつまり「駆除」のことです。

もともと持ち込んだのは人間?

「みんなおなじいのち」と教えられてきたのに…。

生き物にランクを付けたくはないけれど、在来の生態系を守ることの方が大切ってことなのかな?

 

こういったことも動物介在教育学の授業で取り上げる問題です。一緒に考えてみませんか。

TOP