TEIKAジャーナル

第52回「子どもの体力向上を目指した教具の開発と評価」(2011.12)

2011/11/29

近年、体育の授業内でしか運動をしない子どもが増えているとの指摘があることからも、私の授業では学生たちとともに『運動量が増える』教具の開発にもチャレンジしています。

今回はその1つをご紹介します。小・中・高等学校にまたがる「ゴール型」の学習として行われているアルティメットに活用できる教具を身近な素材を利用して製作することを試みました。

具体的には、主に新聞紙を利用して、紙製のフライングディスク(以下、紙ディスク)を作り、運動効果等を検証しました。紙ディスクと市販のフライングディスク(プラスティック製)を用いた際の、心拍数と歩数の相違を比較したところ、紙ディスクを使用した際の方が、その平均値が高い結果となりました。紙ディスクは子どもでも簡単に作ることができます。

「自ら創作する」「うまく飛行させるための原理を考える」といったことは、図画工作や理科の要素も多く含んだ内容であり、児童生徒が興味を持って能動的に身体を動かすきっかけづくりにも役立つのではないかと考えています。

本授業方式で重要なのは、単に紙ディスクを使えば運動量と運動強度が高まるということではなく、自ら考え創作したものを利用することによって体育授業を展開することにあると思います。「体を動かす機会の獲得や運動に親しむ契機」となるような教具を開発することのより、子どもたちの体力向上の一助となればと願っています。

なお、この取り組みが詳しく記された論文が、2012年発行の『臨床スポーツ医学』(文光堂)に『子どもの体力向上を目指した教具の開発と評価』(北徹朗、橋口剛夫、小池守ほか3名)として掲載される予定です。興味を持たれた方は是非ご覧ください。

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実際に紙ディスクを製作する小学生

(帝京科学大学『夢の体験教室』(2011年10月22日)にて)

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