第1回 「ごあいさつ」 (2010.4)
2011/01/23
みなさん、こんにちは。児童教育学科学科長の永沼です。4月の最初の日曜日に満開の桜に祝された日本武道館において大勢の仲間と共に学科の第一期生を迎えることができました。
学科の開設にあたっては多くの方々にご協力頂き有り難うございました。私たち児童教育学科の教員は建学の精神のもとに一丸となって、未来を担うこども達を育むことのできる教育的指導者を育成します。
そこで、先生方一人一人をより良く知っていただくために、こども学科に倣って今月からリレーエッセイを始めました。先生方のひととなりが伝わるようなエッセイを期待しています。第1回は私が担当します。
児童教育学科は姉妹学科でもあるこども学科を水先案内役として構想されました。こども学科は緑鮮やかな上野原市に幼保の1コース学科として2年前に誕生しています。
児童教育学科では本学のコンセプトワードである"いのち"を教育の基礎に据え、隣接学部・学科の協力も得て動物介在教育を学科の柱の一つにしています。一方、大学名が示すように理工系の大学として創設されましたので教育系の学科があることは未だよく知られていません。短所を長所とすべく、理科好きな先生を育てることも柱の一つです。卒業するとコースに応じて小学校教諭第一種、幼稚園教諭第一種、保育士資格が与えられます。また、認定心理士資格も取得できるようにカリキュラムが構成されていることも特徴の一つです。
3月の始めに山田洋次監督の「おとうと」を見ました。私はサユリストではないのですが、高校時代に雑貨屋で買ったブロマイドを今でも持っているぐらいですから、姉の役を演じた吉永小百合さんに次から次へと面倒をかける寅さん風弟役の鶴瓶さんには、つい、イラッとしてしまいました。でも、常識的なふつうの家族の絆のなかでも気づかずに「のけ者・踏み台」にしてしまうことがある、という作品のテーマが潜んでいるのですね。本当は心優しいのに表現の仕方がふつうでないだけで"変わり者"になってしまう。加藤治子さん演ずるお母さんには少し認知症が入っているようでした。吉永さんは「何でも私がしてあげるから」と献身的に面倒を見ていましたが、良かれと思ってしたことが結果的にお母さんを「のけ者」にしてしまったと気づくエンディングのシーンは残酷でした。一ヶ月後に教育者を育成する学科を開設する時期に見たこの映画は強く印象に残っています。 学科の先生方とともに未来を担うこども達を育む先生を送り出したいと考えています。よろしくお願いします。