TEIKAジャーナル

第4回 「アルバイトの思い出」 (2010.5)

2011/01/29

 大学生になれば、多くの人がアルバイトを始めると思います。私も学生時代(といっても、ずいぶん昔の話ですが)、デパートの物産展の店員、ビルの窓のガラス拭き、弁当の配達、家庭教師、新聞配達など、たくさんのアルバイトをしました。そのなかでも、特に、思い出の残っているアルバイトは新聞配達です。

 このアルバイトでは、日曜日を除く毎日、120軒ほどに夕刊を配達していました。ある日、いつものように配達していたときです。新聞を新聞受けに入れて、門扉を閉めようとしたところ、その家のおばあさんが、突然家から出てきて、私にお菓子を渡そうとするのです。びっくりしていると、「あなたが、いつも、丁寧に門扉を閉め、鍵を下ろしてくれているから、そのお礼です。」と言われました。私は恐縮しながらも、「ありがとうございます。」と言って、そのお菓子を受け取りました。

 新聞配達は特に難しい仕事ではありません。受け持ちの家々に、確実に配達すれば良いだけです。しかし、このような簡単な仕事をしていても、その仕事振りを、どこかで誰かがちゃんと見ていることに驚かされると同時に仕事をすることの怖さも感じました。

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