TEIKAジャーナル

第8回 「授業成立の基盤は学級づくりにあり!」 (2010.7)

2011/02/06

 先月(6月)、関東と東北地方にある国立大学附属小学校の公開授業研究発表会に参加し、社会科の授業を4つ参観させてもらった。どの授業にも共通していることは、担任教員が学習環境を整え、指導法を工夫し、児童をよく鍛えていることである。教室へ入ると、壁面にこれまでの学習の流れ、単元指導計画に位置付けられた社会科見学の成果が視覚的に展示され、授業中に活用できるよう工夫されていて、担任教師の授業観・教材観が読み取れた。

 5年生の情報ネットワークをテーマにした授業参観での出来事であった。授業開始前から、一人の男の子の奇声がしばらく続いたので、視線を向けた。担任教師がその男子児童の話し相手をしているようであった。授業が始まり、担任が話し始めてもその男子児童は落ち着かず、時に席を離れて立ち歩くことも見られた。興味深いのは、その男子児童は授業に向かっていないのではなく、授業内容に関連づけて自分の思いをいろいろな形で表現しているのである。担任教師は、その男子児童を落ち着かせるように声かけやスキンシップをしながら授業を続けている。授業が中断するのではと冷や冷やしながら観ていると、担任のおだやかな対応に安心して、しばらくの間落ち着きを取り戻す。そういったことの繰り返しで授業は進んだ。他の児童はどうかというと、件の児童を温かく見守り、時に、その男子児童の表現を支持する様子さえ見られたのである。また、授業中における児童の発言も、前の人の発言をよく聞き、その発言を受けたつながりのある発言がみられ、学習内容が深まりと広がりを持つ展開になっていた。

 学級内に支持的風土が定着し、どの児童も安心して発言できる開かれた学級風土になっていた。授業の内容もさることながら、授業が成立する基盤は学級づくりにあるということを実感した授業参観であった。

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