第12回 「教師の工夫 ~別腹を引き出す~」 (2010.9)
2011/02/16
夏休みが終わり、ランドセルを背負った小学生たちの姿が見られるようになりました。夏休みというとまず「宿題」の二文字が頭に浮かびます。8月の終わりに泣きながら宿題を片付けたという苦い思い出を持っている人もいるでしょうし、結局やらずに逃げ切れた!?という兵(つわもの)もいるかもしれません。
なぜ、自由研究は楽しくできるのに、漢字や計算ドリルは後回しにしてしまうのでしょうか?
教育やスポーツ指導の現場で、教材を完璧に作り過ぎたり、細かいところまでつい言い過ぎたりした経験があると思います。お腹が一杯になってしまうと、どんなに大好きなものでも、もう食べたいとは思いませんね。でも、ご存じのように人間の体には「別腹」という便利なしくみがあります。デザートとか別の食べ物が出てくると脳が反応して胃袋が少し動きます。これによって、ケーキやアイスクリームが食べられた経験がみなさんにもきっとあるはずです。
夏休みの自由研究は、お腹が空いている状態に近いと思います。先生からあれこれ注文をつけられず自由な発想で研究ができるからです。逆に、漢字や計算ドリルは、決められたドリル帳、決められた問題を解くといったように宿題をするお膳立てが出来上がっています。いわばお腹一杯状態です。
でも、その宿題に少しだけ工夫をしてあげると別腹状態が生まれ、意欲的に宿題に取り組むことができるのではないかと思いますし、そこが先生の腕の見せ所です。
決められたことを、決められた教材を使って決められた通りに教えるのではなく、そこに何かエッセンスを加えることが、自ら進んでやろうとする子どもに育つ手助けとなるのではないでしょうか。