TEIKAジャーナル

第28回 「ユニバーサルデザイン」(2011.2)

2011/03/22

 「ユニバーサルデザイン」(universal design)をご存じですか。年齢、性別、障がいの有無などに関係なく、多くの人が利用できるようなデザインすることで、1980年代にアメリカ・ノースカロライナ州立大学のロナルド・メイス(Ronald Mace)博士が提唱しました。

  ところで、日本には、遺伝子タイプの違いや様々な眼の疾患によって、一般の人と異なる色の見え方をする人々が500万人以上いると言われています。このような人たちにも、できる限り正しい情報が伝わるよう配色やレイアウトなどに気を配ったデザインを「カラーユニバーサルデザイン」(color universal design)と呼んでいます。信号や駅の路線図などで広く取り入れられていますが、この春に出版される小学校の教科書で、ある教科書会社が、全教科でこの「カラーユニバーサルデザイン」を採用しています。

  「カラーユニバーサルデザイン」には3つの原則があります。それは、

   1. 色だけではなく、形の違い、位置の違いなど、様々な情報を併用する

   2. 照明や使用状況を考えた配色を使用する

   3. 色の名前を使うことが予想される場合には、色の名前を明記する

 の3つです。

   「カラーユニバーサルデザイン機構」によれば、色の感じ方が異なる中で最も多いのが「色覚異常」で、日本では男性の20人に1人、女性の500人に1人いるとされています。このことから、男子が200人いる学校では、10人ほどが色覚に異常の児童がいる計算になります。従来の教科書では、「できる限り正しい情報が伝わるよう配色やレイアウトなどに気を配ったデザインの工夫」があまりされていなかったため、色の判別がつきにくく、学習に支障を来す児童が少なくなかったと言えます。「カラーユニバーサルデザイン」を取り入れることによって、学習に対しての苦手意識を持つ子どもが減少すると考えられます。

 この教科書会社は、2008年度から、一般の教科書より文字を大きくした「拡大教科書」も手がけています。教員を目指しているみなさん、子ども達の「学習環境」整えるためにできることを考え、実践できる「先生」を目指しましょう。

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