TEIKAジャーナル

第79回「グリーンサムへの憧れ」(2012.10)

2012/10/22

  猛暑対策・節電対策で、ここ数年グリーンカーテンが流行っています。カーテンとしてはツル植物の中でも育てやすいゴーヤが人気ですが、ヘチマも育てやすくおすすめなのだそうです。


  欧米では植物を育てるのがうまい人をグリーンサム(緑の親指)というそうですが、私の親指には緑色の“み”の字もないようで、昔から植物を育てるのが苦手です。小学生の頃を思い出しても、理科の授業で育てた植物は概ねうまくいきませんでした。茎がひょろひょろで小さい花のひまわり、シャーレの脱脂綿の上で妙なカビの生えてしまったインゲンマメなどなど…。世話をサボっているというのなら自分でも納得できるのですが、自分ではみんなと同じように一生懸命やっているつもりなので余計始末に負えません。きっと勘所が悪いのでしょう。中でもヘチマは最も酷く、学校で育てているときから私のヘチマは元気がなかったのですが、夏休みに観察を続けるため家に持って帰ってきて間もなく枯れてしまいました。夏休みの観察日記の宿題もヘチマがなくてはできません。困り果てた末、母と一緒に近所のホームセンターで同じような大きさのヘチマの苗を買ってきました。するとさすがプロの育てた苗!緑の親指を持たない私の世話でもぐんぐん育ち、それはそれは立派なヘチマができました。


  夏休み明けに実ったヘチマをたわしにして学校に持って行く課題があったのですが、私のヘチマは何とみんなのヘチマの2倍はあろうかという大きさでした。みんなに「すごいねえ」「大きいねえ」と言われ、何と答えてよいのかわからず、大きなヘチマを片手にただただ時が過ぎ去るのを待っていた覚えがあります。


  たまにひょろひょろとした育ちのよくないグリーンカーテンを見ると、あの時の少し苦い思い出がよみがえります。でも、本当は植物に囲まれた生活への憧れもあります。来年あたりは頑張ってトライしてみようかな…と思う今日この頃です。

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