TEIKAジャーナル

【作業療法学科】 意味のない部品を組み合わせ意味のあるものにする能力

2020/08/17

作業療法学科の大関です。
 ぬいぐるみという作業は、現場ではよく使われる。裁縫という領域まで広げれば、
殆どの領域で利用している活動である。しかし、養成校の授業内で指導されるこ
とは少ない。なぜならば、教科書に詳しく取り上げられることが少ないからと思
っている。本学の作業療法学科は、開設時からの理念で、現場でよく使われてい
る作業活動を沢山集めて、学生に指導している。
ぬいぐるみは、細かなパーツを組み合わせて作っていく。パーツ一つをプレゼン
トされても、まったく利用価値のないものであるが、それらを組み合わせてぬい
ぐるみになると、意味のある価値あるものに変わる。認知症の初期症状で、料理
ができなくなるというエピソードをよく聞く。普段は、月末の冷蔵庫にはひとか
けらずつの食材が少量しか残ってない状況でも、お母さんは知恵を絞り、それら
の食材でおいしい夕食を作りだしてしまう。ひとかけらの野菜などは各々単品で
見れば意味の低いパーツであるが、それらを頭で組み合わせ一つの料理という意
味ある価値あるものに変えてしまう。認知症という病気は、まずこのような能力
を奪っていくことが少なくない。

一つ一つでは意味のないものを、組み合わせることで意味あるものに変えていく
能力のリハビリは、作業療法士がもっとも得意とする治療法の一つである。現場
では、ぬいぐるみやタイルモザイク、ちぎり絵、電気工作などを対象者の興味関
心や能力などにより使い分けて段階付けをして治療をしていく。
TOP