TEIKAジャーナル

【作業療法学科】『歩く』について考える

2020/09/28

作業療法学科の石井です。
作業療法ではいろいろな作業を治療の方法として用います。
そのためには、その作業の治療的要素を作業分析により明らかにして、対象のケースに用います。
 「作業を治療に用いる?」と思われるかと思いますが、作業は私たち人間にとって呼吸することや、食べることと、同じくらいに重要なことです。
 作業をどのようにとらえるかも重要なことなのですが、「作業とは私たちが行うすべてのことを含んでいる」といえます。たとえば、私が今こうして文章をノートパソコンを用いて打っていることも一つの作業です。

 今日は【歩く】について考えてみました。
 公共交通機関を使って外出する際に、最近は以前と比較すると2時間程度早く家を出るようにしています。その2時間を使ってできることの一つに、慌てないでゆっくりと歩いて目的地に向かうことができます。たとえば乗り換えの際に、乗り継ぎの駅までかなりゆっくりと歩いています。当然周囲の人は私を追い越していきます。駅に到着後目的地まで向かうときもとてもゆっくりと歩きます。同じように周囲の人は私を追い越していきます。
 効用は、いろいろなことに気付くことができることです。些細なことではありますが、いろいろなものが見えてきます。駅の張り紙や広告、街路樹、犬や猫の様子、その町の人の様子も見えてきます。おそらく速足で歩いている人にはこのようなものは見えていないのだろうなと思っています。
 私にとって、この歩くことはいろいろなものを知ることができる機会となって、リラックスできる時間となりました。

 皆さんは歩く速度について考えたことはありますか?
 私は,周囲の様子を視覚的、聴覚的に把握するための上限は歩く速度だと思っています。
歩いて通って来た道に何があるのか思いのほか記憶しています。しかし、自転車に乗って通学している道のりや、車で走った道に何かあるのかはあまり覚えていません。
 おそらく、動物にはその種によって、周囲を視覚的に認知できる移動速度の上限があるのだろうなと思っています。人は歩く速度、およそ時速4キロメートル程度でしょうか。この速度が視覚的に周囲を認知できる上限なのではないかと思います。
 自転車、自動車、電車これらの速度には、人は視覚機能として対応することができずに、いろいろな不都合が生じているとも考えられます。

 皆さんもゆっくりと歩いていろいろなものを改めて見てみたらいかがでしょうか
写真は都会の中に自然です。自然といっても作られたものですが、心休まります。
 
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