TEIKAジャーナル

【医療福祉学科】「多文化共生と福祉Ⅱ」という授業の行き先

2021/05/28

いま、緊急事態宣言が出ています。大学では学内感染予防を徹底しながら学生が対面授業をうけています。パンデミックは全世界的つまり諸外国でも同じような状況にあり、とくに発展途上国の多くは医療崩壊の状態で、ワクチンの摂取もはかどらないのが実情です(日本も同じ状態ですが)。
 このような中で「多文化共生と福祉」という授業がすすんでいます。大学で学生たちが海外のレポーターとオンラインでつながり、授業を双方向で展開しています。写真はそのひとコマです。学生たちは部屋を分散して複数の研究室から参加しています。
 今期はフィリピンのダバオの方々とテーマを設け、ディスカッションをとおして双方の状況や情報を知り合い、それぞれの社会リアルの理解を深めよう、という内容です。トピックスは、教育実情と進学・学費、LGBT+、男女関係や性別役割、家族や生活困窮など多岐にわたります。会話は原則英語なので学生は四苦八苦しながら臨んでいます。ちなみにダバオは現大統領の出身地です。最近まで戒厳令がひかれていた南部の大都市で、感染はいまだ終息せず厳しい行動制限下にあります。
 ビサイヤ語という現地語訛りの英語に頭を抱えながら、それでも必死で画面に食い入ります。日本語訛り英語も聞き取りにくいようで、あちらも大変です。途中で集中力が途切れることもありますが、それでも粘っていると、だんだん息が通じてくる気配があります。それは感動や感情の共有、共感といえるかもしれません。ひとつの事柄を同時に驚きとまどい怒り悲しむとき、数千キロの距離や英語の拙さ、そして見かけの人種の違いや経済的格差という陥りがちな「隔たり」が、後景に溶け霧が晴れていくようです。
 来年には学生たちがディスプレーの向こう側の彼らに会いに日本をとびたっていける、そのような状況を願いながら、英語と奮闘する授業がつづいていきます。

 
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