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第70回「毛刈り」(2012.7)

講師 木場 有紀

講師 木場 有紀

   「動物介在教育演習I」という演習科目で 先日、ある動物園にでかけました。ヒツジの毛刈りを見学するためです。たくさんの親子連れで大にぎわいの中、学生たちはメモを取りながら真剣に見学していました。みなさんはヒツジの毛刈りを見たことはありますか?毛刈りというのは、羊毛を「収穫」するために年に一度春に散髪することです。散髪なのでヒツジは痛くはありません。また、高温多湿の日本では、毛を刈ってやらないとヒツジが夏バテしてしまいます。ぶ厚いコートを着ているようなものですからね。

   このように説明すると、毛刈りというのはヒツジを散髪してあげて、代わりに人間が毛をもらうwin-winの仕組みのようですが、これはヒト側の論理。ヒツジに「散髪だからね。痛くないからね。そこにおとなしく座ってて。」とお願いしても、おとなしくしていてはくれません。品種や性別によって差はあるもののヒツジの体重は50kg以上あり、従順でもの静かなイメージとは裏腹になかなかどうして力強い動物です。

   見学を終えた学生たちにレポートを提出してもらい、見学を通じて感じたこと、考えたことを発表してもらいました。さまざまな意見がありましたが、その中で、動物の取り扱いについて考えさせられた、という学生がいました。社会の授業で毛刈りの光景を写したビデオを見たことがあるそうで、そのビデオでは1人で毛刈りをしており、一方で動物園では3人がかりで毛を刈っていたのでヒツジを押さえつけているように感じたのだそうです。また、その学生は「ビデオの中で1人で毛刈りをしていたのは体の大きな男の人だった。ヒツジを思いのままに操っていて、すごいと思ったけれども無理矢理引きずったりもしていたし…」とも言っていました。

   この学生がもやもやしたこと。聞いていた学生たちも複雑な表情でした。これが演習の中で考えて欲しいことのうちの1つです。 

   ところで、すっかり刈りとられた羊の毛。いったいどこに行くのでしょう?



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