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第71回「あらゆるものがこれまでは想像できないほど進歩している。」(2012.7)

教授 上野 行一

教授 上野 行一

あらゆるものがこれまでは想像できないほど進歩している。

しかし、まったく変わっていないものがある。

教育だ。

ビクトリア朝の教師が、21世紀の教室に入ってきても、さほど違和感は抱かないだろう。

ほかの分野ではあり得ないことだ。

このような業態は近い将来、滅びるだろう。

 

英国の教育相マイケル・ゴーヴはこのように語った。*1

若干45歳、元ジャーナリストでネオコンの旗手でもあるゴーヴ大臣は、中国語を5歳から11歳までの初等教育(キーステージ1から2)の外国語に加えるなど、大胆な教育改革を行っていることで知られている。

学力の基本概念についても先見的である。もちろん旧来の「読み、書き、算数」ではない。21世紀、とりわけ2008年以後の激変した社会を生きる資質・能力としての学力形成を教育に取り入れ始めている。そしてこれは世界的な動向になっている。

それが「21 世紀型学力」だ。日本ではまだなじみが薄いが、欧米諸国はもちろんのこと、すでに韓国や中国、インド等の各国政府がその学力を育成する教育について取り組み始めている。そもそも米国教育省がインテル等と開発したことから、21 世紀型学力をIT能力の育成と短絡視する向きもあるが、そうではない。

21 世紀型学力は、決められた答えに到達するための学習ではなく、幾通りも答えが想定される問題(状況)について、意見の違う人たちと対話し、最良の答えを共同で作りだしていくような学習によって培われる。

これは大学での教育においても、いま求められている学力だ。ハーバード大学のマイケル・サンデル教授やコロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の授業を思い浮かべていただければよい。これから教員を目指す人には、ぜひとも身に付けていただきたい学力である。

 

*1 英国The Gurdian紙による



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