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第96回「横浜市の待機児童はゼロではない?」(2013.8)

准教授 石橋 裕子

准教授 石橋 裕子

  慢性的に待機児童数の多かった横浜市で、待機児童がゼロになったと発表がありました。2010年4月には1552人、2011年には971人、2112年には179人いた待機児童が、3年間でゼロになったとマスコミでも大きく取り上げられましたので、ご存じの方も多いと思います。

  しかし、市長は記者発表の中で、「希望しても認可保育所に入れなかったこどもが1749人いる」と明かしました。そのうち、どこかの保育施設に入れたこどもは877人(横浜市が独自の規準で認定している「横浜保育室」に入所した子が716人、保育ママに預かってもらっている子が84人、幼稚園の預かり保育で対応した子が3人、事業所内保育所に入所した子が22人、一時保育や乳幼児の一時預かり施設で対応している子が52人)です。また、待機児童にカウントされなかったこどもが869人(育児休暇を延長する等の対応をしたこどもが203人、自宅で求職活動している人のこどもが100人、入れる保育所があるが特定の保育所に申し込んでいる人のこどもが566人)います。この869人は、市の考える待機児童の規準からはずされていており、「保留児童」と呼ばれています。

  さらに、横浜市の認可保育所の26%が企業の運営する「企業立保育所」です。日本の平均は2%ですので、大変に多いと言えます。これは、横浜市では、認可に当たり、国の規準よりかなり緩和された面積基準を適用しているためです。たとえば、近くに公園があれば園庭の面積は国の規準の2分の1でよい、駅前の保育所であればプール置き場があればよい、等がその例です。「企業立保育所」の多くが、道路の陸橋の下や鉄道の高架下、ビルの上層階等に保育所を作って認可を受けています。マンションの狭い通路の「プール置き場」や、屋上の狭いスペースが「園庭」でよいのか、疑問が残ります。

  安倍首相は、このような「横浜方式」を絶賛しており、国は企業の参入を加速させ、待機児童を減らそうとしています。もっとこどもの立場で待機児童ゼロを推進する必要があると考えますが、皆さんはどのように思いますか?



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