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第105回「子どもたちが大好きな区歌」(2013.11)

准教授 林 友子

准教授 林 友子

  「くか」。声に出してみると固い響きです。各区に制定されている区の歌ですがその存在を知っている方はどれだけいらっしゃるでしょうか。

  私は、公立幼稚園に長年勤務してきましたが、足立区に着任した数年前に、その存在を知りました。いや、正確にいえば意識したと言った方がよいかもしれません。

  前任区にも区歌はあったようですが、足立区のそれを知った時、ああ‥前の区でも1、2度聴いたかもしれない‥という程度の記憶だったからです。

 

  着任してすぐの入園式。新入園児を迎える年長児が、足立区歌「わがまち足立」(作詞:橋本完寿郎、作曲:團伊玖磨)を、来賓や地域の方々と共にどうどうと誇らしげに歌う様子に感動しました。3番まであり、幼児にとっては少し長く難しいように感じたのですが、子どもたちは、歌詞の情景を想い描くかのようにきれいに歌いきりました。その後、日々の保育の中で、子どもたちが「わがまち足立」を歌いあげるようになるまでの過程を見ていると、常に感じたことは、どの子どももこの歌が大好きだということでした。何故なのでしょうか?


  一つには、やはり、日本を代表する作曲家・團伊玖磨氏ならではのメロディーの美しさ素晴らしさがあるからではないでしょうか。2番と3番の間に間奏がはいるメロディーは、胸に染み入りながら心が震えるような高揚感があって耳に残ります。また一つには、先にもふれましたが、歌詞からその情景をイメージしやすいということがあるからではないでしょうか。抽象的な表現や“若人”“川面”などの言葉も入りますが、かみ砕いて伝えれば、子どもが理解することは容易いと思います。そして、1番から3番まで最後に“ああ ふるさと わが足立”のフレーズが入ります。“ふるさと”という言葉を子どもたちがどのように捉えるか、理解を図るには難しい面もあるでしょう。しかし、繰り返し歌ううち、自分たちの住む町や地域はとても素晴らしく、いい所なんだという思いを込めて、誇らしげに歌うようになるのです。さらにもう一つには、世代を越えて共に声を合わせる心地よさがあるからではないかと考えます。小・中学校へ通う兄弟姉妹も式や行事の際には歌っています。そんな歌を保護者や地域の方々と共に歌う中で、子どもたちは、身近な人たちや地域の方々に温かく包み込まれるような感覚を感じているのかもしれません。

  子どもたちが、「わがまち足立」に魅せられる理由を自分なりに考えてみましたが、この区歌は、区制50周年記念事業として作成されたそうです。園や学校、家庭、地域が共に、“ふるさと”となる我が町を歌で賛美する体験は、人と人とを縦横につなぎ、また、人や地域を大切に想う豊かな心情を育む貴重な経験となっているように思います。

  興味をもたれた方は、足立区のホームページで、「わがまち足立」と検索してみてください。



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