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第107回「運動・スポーツとオノマトペ」(2013.12)

講師 杉本 信

講師 杉本 信

  幼児教育・保育の中で、オノマトペという言葉が使われます。このオノマトペ、日本では擬声語・擬音語(実際の音を真似た言葉。あかちゃんが“オギャー、オギャー”と泣く)、擬態語(聴覚以外の視覚・触覚などの感覚のイメージを言葉に表した語。焼きナスを口に入れたときの“ネチョー”した歯ごたえ。実はナスが嫌いです)の総称として使われています。特に絵本やマンガでよく使われています。たしか「もこもこもこ」(たにかわしゅんたろう 作、もとながさだまさ 絵、文研出版)という絵本はオノマトペのみが使われている絵本だったと記憶しています。「おおきなかぶ」(ロシア民話。A.トルストイ 再話、内田莉莎子 訳、佐藤忠良 画、福音館書店)でも、かぶをぬこうとするときのおじいさんたちの発声を「うんとこしょ、どっこいしょ」と内田氏は訳しています。

  さて、この「どっこいしょ」。「よいしょ」とか「よっこらしょ(よっこいしょ)」など、座っている状態から立とうとするとき、ついつい使ってしまいます。若い頃、「よっこいしょ」と言って立ち上がったら、運動生理学ご専門の先生に「それ、老化現象ですよ」と言われたのを覚えています。立とうとするとき、物を持ち上げるときなど、力を発揮するときに使っているように思っていました。

  この「よいしょ(ー)」を藤野良孝氏は著書の中で(「一流」が使う魔法の言葉 スポーツオノマトペで毎日がワクワク、祥伝社、2011)、「よ」と「い」と「しょ」を3分割し、「よ」は気持ちのスイッチを切り替える準備段階、「い」は体の中心軸を安定させ、力を入れる段階、「しょ(ー)」は運動の伸びを調節し、運動を終える段階というようにそれぞれに意味のある言葉であることを解説しています。さらに「よ」・「い」・「しょ(ー)」が3拍子のリズムに呼応しており、力を発揮するだけでなく運動のリズムをとったり、タイミングよく運動したりすることに役立っていると書かれています。

  スポーツ場面や運動・スポーツの指導場面でもよくオノマトペが使われています。有名なのが卓球の愛ちゃん(福原愛選手)の「サー(サァー)!」でしょう。運動・スポーツ場面では、このオノマトペを、力量発揮、スピード感、持続性、タイミング、リズムなど運動のコツを表す言葉、あるいはモチベーションやリラクセーションをコントロールする言葉として多岐に使われており、今後は指導場面での運動学習や動機づけに効果的なオノマトペとは何か、どのような場面でどう使ったらいいのかについての研究が期待されます。ちなみに愛ちゃんの「サー(サァー)!」がどんな意味を持つのかについては、先ほどご紹介した藤野氏の著書を参考にして下さい。



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