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第114回「子ども・子育て支援新制度について」(2014.4)

准教授 石橋 裕子

准教授 石橋 裕子

  日本の子育てを巡る問題は、急速な少子化の進行、核家族化や高齢化、地域での人間関係の希薄化による子育ての孤立化、都市部を中心とした待機児童の増加等、多岐にわたっています。これらの現状や課題を踏まえ、2012(平成24)年8月、一人ひとりの子どもが健やかに成長することができる社会を目指して、子ども・子育て関連3法が成立しました。子ども・子育て関連3法とは、①子ども・子育て支援法、②認定こども園法の一部を改正する法律、③関係法律の整備等に関する法律、の総称です。これらの法律に基づき、税率が10%になる予定の2015(平成27)年4月にスタートする予定で、現在、国では「子ども・子育て会議」を組織して、基本方針等を検討しています。まもなく始まろうとしている制度ですが、保護者や施設関係者も内容をよく理解していないため、周知が課題だと言われています。皆さんはご存じですか?

  なぜ財源が10%に引き上げられる年度にスタートするのかというと、増税分のうち、全国で約7000億円(さらに、それ以外の財源も含めて1兆円超の財源の確保を目指しています)が充てられることになっているからです。これだけの財源が子ども施策に投じられるのは初めてのことで、国が幼児教育や保育の質を改善する方向性を明確に示したと言えます。

新制度では、保育利用の手続き方法が変わります。保育を利用するためには支給認定(保育の必要性の認定)を市町村から受けることが必要となります。支給認定の種類によって利用できる施設や保育時間が異なります(表1・表2)。また、保育の定員や種類が増えます。

  幼稚園の制度も変わります。保育も提供する「認定こども園」に移行するのかを検討している私立幼稚園もあります。認定こども園とは、幼稚園と保育所の機能や特徴を併せ持つ施設で、幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型の4類型があります(表3)。そのうち、「幼保連携型」の設備や運営に関する基準、提供される教育・保育の内容が新たに定められます。

現在、各自治体では「地方版子ども・子育て会議」を設置して、事業計画の検討を始めています。準備情報は、ホームページ等で公開され、新制度についてのパンフレットを作成している自治体もあります。

来年度からの実施に向け秋から、全国で保育利用の申し込みが始まる予定です。しかし、実施できるのかは不透明です。1億円超かかるとされる財源のうち7000億円しか確保できておらず、税の引き上げが延期されれば7000億円の確保も難しく、新制度のスタートも遅れることになると考えられます。

 

(表1)支給認定の種類(『子ども・子育て支援新制度について』内閣府子ども・子育て支援新制度施行準備室より作成)

支給認定区分

対象となる子ども

利用できる主な施設・事業

1号認定

満3歳以上の就学前の子ども(2号認定を除く)

認定こども園、幼稚園

2号認定

満3歳以上で保護者の労働や疾病等により、保育を必要とする子ども

認定こども園、保育所

3号認定

満3歳未満で保護者の労働や疾病等により、保育を必要とする子ども

認定こども園、保育所、家庭的保育事業、小規模保育事業等

 

 

(表2)認定要件(『子ども・子育て支援新制度について』内閣府子ども・子育て支援新制度施行準備室より作成)

要件

保育時間

保育標準時間(フルタイム勤務等)

1日最大11時間

保育短時間(パートタイマー等)

1日最大8時間

 

 

(表3)認定こども園の類型(出典:『幼稚園保育所・児童福祉施設等実習ガイド』石橋裕子他・同文書院)

類型

概要

幼保連携型

認可幼稚園と認可保育所とが連携して一体的な保育を行うことにより、認定こども園としての機能を果たすタイプ

幼稚園型

認可幼稚園が、保育に欠ける子どものための保育時間を確保するなど、保育所的な機能を備えて認定こども園としての機能を果たすタイプ

保育所型

認可保育所が、保育に欠ける子ども以外の子どもも受け入れるなど、幼稚園的な機能を備えることで認定こども園としての機能を果たすタイプ

地方裁量型

幼稚園・保育所いずれの認可もない地域の教育・保育施設が、認定こども園として必要な機能を果たすタイプ



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