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第119回「知ることと分かること」(2014.7)

教授 河崎 雅人

教授 河崎 雅人

  先日、小学校の学校公開で、小学2年生の算数の授業を見学する機会がありました。見学した授業は、「長さをはかろう」という単元で、ブロックやクリップを使って長さ測ることから、ものさしを使って測ることを学習し、1㎝という単位を学習した後の授業でした。 最初に、ものさしに親指と人差し指をあてて、1㎝の幅に広げ、隣同士で比べあっていました。「ちっさい」とか「こんだけ」などという声が聞こえてきます。子どもたちは、指を1㎝の幅に広げることで、1㎝という長さを実感することができたでしょう。

  以前、ある幼稚園を訪問した時です。年長の園児が「先生、本当にあったよ」と嬉しそうな、また、満足そうな顔で先生に言っていました。先生のお話では、この園児は縦に「1000のビーズ(1000個のビーズを一辺に10個の立方体の形にしたもの)」には、本当に1000個のビーズがあるかどうか、2日間かけて1個ずつ廊下に並べ確かめたといことでした。 この園児も1000という数の大きさを実感したことと思います。

  4年生では「兆」「京」という位までの数を学習します。でも、「兆」「京」というのは大きな数であることは分かりますが、実感がわきません。例えば、日本の国家予算は約100兆円です。1万円札にすると、100億枚です。一人で1秒間に1枚ずつ数えるとすると、100億枚の1万円札を数えるにはどのくらい時間がかかるでしょうか。1時間では60×60で3600枚、1日では3600×24で86400枚、1年では86400×365で31536000枚です。100年かけても、3153600000枚しか数えることはできません。100億枚数えようとすると、300年以上もかかってしまいます。また、5年生では一辺の長さが1mの立方体の体積を表す1mという単位を学習します。体積も実感として捉えにくいものです。1mは100×100×100で、1000000㎝、なじみのある単位で表わせば、1000000mlです。実にペットボトル2000本と同じ量になります。毎日ペットボトル4本の量を飲んでも、500日分、つまり1年と半年以上飲めるだけの量があるのです。

 情報社会になって多くの情報を手軽に入手できるようになりました。分からないことは検索すればすぐに調べることができます。その結果、言葉や意味を知っただけで、分かったという気持ちになりがちです。しかし、言葉の意味を知っただけで分かったことになりません。年長の園児のように、実感を伴った認識を得るようにしていきたいものです。



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