TEIKAジャーナル

第103回「中国の「随伴就読」」(2013.10)

2013/11/19

  最近、日本の特別支援教育界で中国の特別支援教育形式の一つ「随班就読」(他には、特別支援学校と特別支援学級)に関する研究を目にするようになり、同業界の先生方にもよく質問され、私自身ももっと実況知るべきだと考え、中国の特別支援教育の動向に目を光らせています。

  中国の「随伴就読」(Learning in Regular Class)は、20世紀80年代初、中国政府は「国連障害者の10年」(1983~1992)に合わせ、主に農村部の盲・聾・唖貧困障害児の教育を保障するために、「随班就読」システムを試行しました。1988年「中華人民共和国義務教育法」が公表され、国家教育委員会が制定した「中国残疾人事業五年工作綱要(1988~1992年)」で初めて「随班就読」を政策として施行しました。また、中国第一回全国特殊教育工作会議に「随班就読」は普通教育機関で特殊学生を教育すると定義され、通常学級に障害児の義務教育を「中国障害者事業“八五”計画綱要」(1991~1995年)の重点課題として、障害児の入学率を20%から60%へ引き上げを目標とし、「随班就読」を普及し始めました。1990年、「障害者保障法」の施行とともに、随班就読が本格的に実施されました。2012年、障害児童の義務教育普及率は大中経済発展地区の都市部で84%の就学率に達しているのに対して、中国全土の6割を占める農村部の障害児童の就学率は64%でした。

  「随伴就読」の対象児は特別支援学級特別支援学校に在籍する児童生徒は対象外でありますが、対象児童は日本の「言語障害自閉症・情緒障害・弱視難聴学習障害注意欠陥多動性障害肢体不自由病弱身体虚弱の児童生徒」に加えて、「超常児童(天才児)」も含まれています。主な形式は通級クラス、通級クラスプラス特別支援学校の教員による巡回指導、通級クラスプラス通級指導クラス、通級クラスプラスリソース教室、通級クラスプラス言葉の教室など専門教室に取り込まれています。そのほかに、就学児童のニーズおよび「随班就読」の質を保障するため、就学児の配置に対して、1クラスに3人以下を置き、同じクラスに同障害をもつ児童を優先するほかに、同じクラスにサポートする“伙伴”をつけることはインクルージョン教育(中国では、「融合教育」という)の特徴とも言えると思います。

  「随伴就読」は、障害児教育の就学措置として、中国の義務教育の普及に大きな役割を果たしました。しかし、近年、就学後の支援やカリキュラムの編成など、教員の専門性が求められ、教員養成の緊急性が高まってきました。特別支援教育学校数の増加とともに、教師の専門性の向上や「医教结合」における教育の中のリハビリシステムの体制の形成を強調しました。それから、制度の実施に関して、中央政府の法令と地方政府の実施条例のズレは、障害児・者のライフステージに大きいな影響を与えています。さらに、「障害者権利条約」の批准によって、障害児の診断から成人施設の整備まで、障害児・者のQOLの向上につながる医療機関や教育機関など関係機関の連携が求められています。

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