TEIKAジャーナル

第36回 「子ども・子育て新システム」って?(2011.6)

2011/06/15

 この度の東日本大震災で被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 今回は、国が進めている「子ども・子育て新システム」についてお話しします。
 このシステムは、子どもの育ちや子育てしている家庭を対象に、待機児童を解消することや、妊娠から出産、その後の子育てを社会全体で支援していくことを目的としています。2年後の2013年度からの実施を目指し、6月までに議論をまとめる予定で、現在、国が検討を進めています。新システムによって実現されることとして、
  1. 幼保一体化による幼児の教育・保育の一体的提供
  2. 仕事と生活の両立支援と子どものための多様なサービスの提供
  3. 待機児童の解消
などが揚げられています。
 「幼保一体化による幼児の教育・保育の一体的提供」は、幼稚園・保育所の垣根を取り払い、新しい種類の施設を作ることを目指しています。5月11日に政府は、幼稚園や保育所など未就学児が通う施設の名称をすべて「こども園」に統一する方針を決めました。この案によると、「こども園」と呼ばれるのは、
  1. 0~2歳児に保育を行う「保育所」
  2. 3~5歳に幼児教育のみを行う「幼稚園」
  3. 3~5歳に幼児教育と保育を提供する総合施設「こども園」
の3つの型です。総合施設である「こども園」は、現在、全国に253園(2010年4月現在)ある「認定こども園」に近い機能を持つようです。
 新システムは、さまざまな「問題」も指摘されています。例えば、「こども園」には、待機児童の8割を占める0~2歳児の受入は義務づけないので、待機児童は減らないのではないか、と心配されています。
 現在は、保育が必要な子どもに市町村が保育を提供していますが、新システムではそれがなくなり、保護者の就労の状況に応じて「保育の必要度」を認定するだけとなります。このため、保育所に入所するためには、保護者が自分で保育所を見つけて、園に直接申し込まなければなりません。小さな子どもを抱えながら、また、仕事をしながら受け入れてくれる園がみつかるまで、あちらこちらの保育所を探し回らなければなりません。保護者の負担となることが懸念されています。
 どのような制度になるのか、是非関心を持ってください。

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