TEIKAジャーナル

第55回「断捨離の見極めは?」(2012.1)

2012/01/11

年末になると、「思い切って捨てる」ことに関する本や、特集を組んだ雑誌が多く出版されます。「3年着なければ不要なので手放しましょう」「写真のネガは、焼き増しはしないから取っておかず、処分しましょう」などと書かれています。

   今年は東日本大震災がきっかけとなり、家電製品などは「節電商品」が話題になりました。新製品が売り出され、買い換えた人も多いと聞きます。我が家でも計画停電に備え、充電式の扇風機を購入しました。買い換えるということは、直して使い続けることではありません。今まで使用していたモノの大半は「ごみ」になる運命にあるといえます。まだ使用できるモノであれば「もったいない」気がします。

   年末には家電製品を買い換えたり、洋服や雑貨などの不要品を処分します。不要品はリサイクルショップに持ち込むこともありますが、新しいものに買い換えると、ほとんどの古いモノはゴミとなっています。こちらも「もったいない」と感じます。

   ところで、「断捨離」がはやっているようです。やましたひでこさんが提唱する、部屋の整理整頓と共に生活に調和をもたらそうとする生活術だそうで、山下さんの著書は200万部売れています。やましたさんの公式ホームページには、次のようにつづられています。

   「断捨離というと新しい片づけ術かと思うかもしれませんが、そうではありません。断捨離とは、モノへの執着を捨てることが最大のコンセプトです。(中略)必要のないモノ、使わないモノを手放すことで、本当に必要なもの、本当に価値のあるものがさらに浮かび上がってきます。」

   この文を読み感じたことがあります。それは、「本当に必要なもの」と判断するのはとても難しいということです。なぜならば、計画停電になったときに活躍したのは、かさばるので処分しようと思って押し入れに「保管」していた古い携帯ラジオだったからです。このラジオがあったおかげで、テレビが見られない数時間、寂しい思いをせずにすみました。このラジオ、今は、いつでも使えるよう、予備の乾電池とともにテレビの横に置いてあります。

「何が我が家にとって、自分にとって大切なモノなのか」をすぐに見極めることはやめ、しばらくは、また「押し入れに保管」されるモノが増えそうです。

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