TEIKAジャーナル

第41回「***事実はひとつ、解釈は無数*****」 (2011.8)

2011/08/12

イタリアのボローニャにはサン・ドミニコ聖堂があり、そこは14歳のモーツアルトが弾いた数字付き通奏低音オルガンがあるので有名です。でもその他にも数々の名物があります。

その名物のひとつが、聖堂前庭にある巨大な石の棺。

この石棺には、初期のころのボローニャ大学の教授の遺体が数体納められているそうです。

さて、その石棺の横には立て札があってそこに書かれていることはどんな内容でしょうか?教授への感謝の言葉?業績を称える言葉?いえいえ…。

「われわれ法学生はここに自治団体としての学生組合universitasを結成する。そして学生組合が招いた教師たちに、われわれは次のことを要求する。

学生の許可なしに講義を休んではならない。

教師は始鈴とともに講義を始め、終鈴とともに教室から退出しなければならない。ただし難問を説明しないうちは、その退出を禁止する。

講義を飛ばしてはならない。

その学問について一から十まで丁寧に講義すべきである。

これらの要求が満たされないときは、われわれは教師に対する報酬を支払わない。」

うーん、迫力がありますね。学問に燃えている若き人々の熱気を感じ、心がしびれました私でした。ところが、ある会合後の雑談で、そのことを何気なく語ったら、

「その頃から、休んだり、遅れてきたり、いい加減な授業したりする教授がいたってことですなあ。」と感慨深げにおっしゃった教授がいらっしゃいました。

あららら.....。そういう見方も、あったのですね。

事実はひとつ、解釈は無数。あなたはこの立札を読んでどう思われましたか?

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