TEIKAジャーナル

第59回「花束」(2012.3)

2012/03/02

   花束という言葉を聞いてどんな花々をイメージしますか?
   赤い薔薇?いいですね。お誕生日には赤い薔薇を年齢数だけ花束にしてプレゼントしてほしいな~と思ったのはいつのことだったでしょうか?
   以前、野球選手だった長嶋茂雄さんが、60歳の誕生日に60本の赤い薔薇の花束を抱いて笑顔でインタビューを受けていたのをテレビで見たことがあります。60本とは!きっと薔薇の甘い香りに酔いしれたことでしょうね。
   ところで、最近、心がざわめいて収縮し拡散し、有限と無限の世界を行ったり来たりするような、それでいて心地よい世界に入り込んだ様な錯覚にも似た気持ちを引き起こす花束に出会いました。それは「グラン・ブーケ」。オディロン・ルドン作です。ブルゴーニュ地方のドムシー城を飾る装飾画連作の中央パネルで、他の15点は1988年にオルセー美術館に譲渡されたそうですが、この「グラン・ブーケ」だけは城を離れることがなかったとのこと。ところが近年、三菱一号館美術館の所蔵となり一般公開されたのです。以前から、本物を見てみたかったので、早速行ってきました。この花束には、いたんだ心をよみがえらせる大きな力がありました。

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