TEIKAジャーナル

第138回「集中力を高める?」(2015.5)

2015/05/30

  よく集中力という言葉を使いますが、集中力とは何でしょうか。集中力とはある物事に意識や注意を持続できる力(広辞苑)のことをいいます。この集中力には、心理学的に二つの意味があります。一つは、注意散漫にならず注意を物事に向けることができる力です。二つ目は、やる気(意欲)に関連します。人は物事に集中している時、ワクワクするとか気持ちが入っているとか一心不乱という表現をします。そのようなこころの状態の時に、集中力が高まったり持続したりします。集中力が高い・低いとか集中力が続く・続かないという言い方をするのは、このようにやる気の高さや持続性に関連があるのです。

  そこで、集中力を高めたり持続したりするには、どうしたらいいのでしょう? 集中力は脳の覚醒水準(脳の興奮状態)と密接に関係しています。集中力を高めるには、脳が興奮しすぎていても、逆に全然興奮していなくてもよくありません。脳が中くらいに興奮していると集中力は高まります。それを脳の最適覚醒水準といいます。

  脳の中くらいの興奮状態をつくるには、こころとからだのリラックスが必要になります。その方法がリラクセーションです。その方法の一つに漸進的リラクセーション技法があります。人は緊張しすぎると自分のからだに力が適度に入っているのか入りすぎているのかわからなくなることがあります。そこで、顔・肩・腕・お腹・足に、順番に20秒くらい思いっきり力を入れてはすぐ脱力する、ということを繰り返します。力を抜くためにあえて力を入れ、そのあとで脱力することでより力の抜けた状態を学習しようというやり方です。

  また、呼吸法も一般的なやり方です。これは腹式呼吸を使って心身のリラックスを得る方法です。まず目を閉じ、息を吸いながらゆっくりとおなかを膨らませ、いったん息を止め、今度はゆっくりと吐き出していきます。「一、二、三」で息をゆっくりと吸い込み、「四」でいったん息を止めて、今度は「五、六、七、八、九、十」でゆっくりと息を吐き出していきます。吸う息よりも吐き出していく息に重点をおきます。吸う息は自然に任せ、吐く息を吸う息の倍の時間をかけると効果的です。

  さらに、漸進的リラクセーション技法と併用するとより効果的です。例えば、まず呼吸法を行います。次に顔に20秒くらい思いっきり力を入れ、すぐに脱力します。その後、呼吸法を入れます。呼吸法が終わったら、肩に思いっきり力を入れ、脱力します。その後、呼吸法という具合です。

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