教育・研究

図書館だより 第22号 2002.10.18


[目次]


特集 応援します!就職活動

 学生にとって最大の関心事ともいえる就職。今回は効果的な就職準備に役立つよう、2部構成でこの特集をお届けします。第1部では就職室の幸田部長から最近の就職状況等についてお話を伺い、第2部では就職活動に役立つ資料をご紹介します。

第1部

-近年の就職・採用の傾向についてお聞かせください。

幸田 最近の日経新聞に平成13年度の大学卒の約12万人が無業者であるとの記事が載っていました。大卒者の5人に1人が働く場を持たずにいることになり、日本にとって、まことに由々しき問題であると思います。本学学生の就職行動も社会の動向をそのまま反映しております。ここ3年ほどの傾向として、求人倍率は4倍以上あるにもかかわらず、内定率が落ちてきております。一番大きな理由を一言で言えば、自分の希望する職業が分からない層と希望以外は一切拒絶する両極端の2層が増えていることにあります。更に言えば、内定なしでそのままずるずる卒業して無業者になっても、バイト等の臨時的仕事がいくらでもあるという現実があります。要するに差し迫った切実感がないのです。製造業の求人が減り、非製造業の求人比率が高まり、営業職が突出して増加していることも、理工系の学生にとって状況を悪化させる要因となっています。

-就職活動を始めるにあたり、必要な心構えや準備とはどのようなものでしょうか。

幸田 経済状況は依然として不透明であり、中高年にとってはリストラの嵐が吹き荒れていますが、新卒の求人は不況の中にあっても恵まれております。本学の求人状況は約400人の就職希望者に対し1600人あまりの求人が現在まできております。しかし、残念なことに学校にきた情報を利用しない学生があまりにも多くなってきていると思います。それは、ネットの発達で家からも簡単に外部の求人情報にアクセスできることが一番大きな理由だと考えております。学生には、就職室への来室と本学に来た求人を軽視することのないよう申し上げたい。さもなければ、堅実に内定を得る道を閉ざすこととなり、また、就職の専門家の指導を受けるチャンスを失うことになるのです。さらに、就職活動の第一歩から、現実に即した姿勢であって欲しいと思います。すなわち、就職先を希望の分野に限定せず、より広い分野を視野に入れて活動して欲しいのです。秋になってもうまくいかず、慌てて現実に妥協しても時すでに遅いのです。

-どのような就職支援行事を行っていますか。

幸田 本学では年間を通じ様々な就職支援活動を実施しています。かつて就職協定があり求人活動の開始時期に歯止めがありました。その後就職協定が廃止され、それ以来年々企業の求人活動が早まってきています。その当時就職協定は有名無実なものと解していましたが、それなりの効果があったと思い知らされます。大学としても実態に合わせて支援の行事を考えざるを得ず、従来3年次の10月からガイダンス等を開始していましたが、本年度より5月に繰り上げて、その分行事の数も増やしております。また、キャンパス内で企業の合同説明会を3年ほど前より年2~3回実施して効果をあげています。ちなみに、本年2月初旬の実施時には約180社、6月下旬には約90社の企業に参加いただいております。交通の便がいいとはいえない本学に、かくも多数ご参加いただけるのは望外のことであり有り難いことだと思っています。

-最後に、就職を目指す全ての学生にひとことメッセージをお願いします。

幸田 就職活動に際し、最も大事な"心"について触れておきたいと思います。それは素直な心、明るく快活な心です。ありふれたことと思われがちですが、私の目からみるとこのような心の持ち主は、世渡り全般に関して得をしていると思います。

-どうもありがとうございました。学生の皆さん、きめ細かい就職指導を行っている就職室をぜひ訪れてみてください。

第2部

就職活動に役立つ資料をメディア別に紹介します。

■図 書■
図書挿絵  請求記号に「366.29」と付いている図書は、職業や就職に関する図書です。ここにはSPI対策本や「面接の達人」シリーズなどがあります。進路がはっきり定まっていない人は、まず「なるにはBOOKS」シリーズ[ぺりかん社](請求記号:366.29/N53)を読んでみませんか。このシリーズはさまざまな職業の生きた姿を紹介し、なるための方法を解説したユニークな職業ガイドです。当館には「地方公務員になるには」「エンジニアになるには」「動物訓練士になるには」「環境スペシャリストになるには」など15冊が揃っています。なぜ私はこの仕事を選んだのか[岩波書店](請求記号:366.29/I95)も、第一線で活躍中のゲームデザイナー、ジャーナリスト、パン職人など17人が、進路決定に際しどのように悩み、どう克服したか等を語っており参考になる一冊です。
 また、企業研究には会社四季報[東洋経済新報社](請求記号:335.035/Ka21)や会社年鑑 上場会社版[日本経済新聞社](請求記号:335.035/Ka21)、会社総鑑 未上場会社版[日本経済新聞社](請求記号:335.035/Ka21)などの参考図書が役立ちます。中でも会社四季報はサイズもコンパクトで引きやすく手頃な資料です。内容は全国の上場会社を網羅し、所在地・従業員数・平均賃金・メインバンク・資本金・大株主・売上高・株価等を記しています。年4回発行で、英文版も所蔵しています。


■新 聞■
新聞挿絵 言うまでもなく新聞は情報の宝庫です。日頃から新聞に親しむ習慣をつけておきましょう。 日刊工業新聞は開発・発表されたばかりの新製品情報が掲載されています。気になる企業や業界についてより深い知識を得るためには欠かせない情報源です。 日本経済新聞の「きょうのことば」という欄では、その日の重要な記事のキーワードについて説明を加えています。毎日チェックすれば時事問題対策にもなるでしょう。また、時事的問題の経過や背景などについて時間を遡って調べる際には、縮刷版が便利です。当館には 朝日新聞縮刷版日本経済新聞縮刷版が1992年1月号から、また山梨日日新聞縮刷版は2000年4月号から所蔵しています。


■雑 誌■
雑誌挿絵 雑誌記事に目を通すことで、ニュースや新聞とは違う見方やまとまった情報を得ることができます。
 選択[選択出版]、中央公論[中央公論新社]、世界[岩波書店]などの総合誌は、速報性重視の新聞やニュースと違い問題を深く掘り下げて論説しています。企業研究や産業界の現状に関する記事は経済・経営誌に豊富に掲載されています。特にエコノミスト[毎日新聞社]には内外の経済白書の詳細な解説があり、 週刊ダイヤモンド[ダイヤモンド社]には「○○入門」のような学習参考書的記事も頻繁に掲載されます。 日経ビジネス[日経BP社]は企業のトップや主要人物のインタビュー記事が多く、 週刊東洋経済[東洋経済新報社]に掲載される「会社四季報」の補足、訂正記事は見逃さないようにしましょう。また、理工系大学の学生として科学に関係する時事問題や社会の動きを捉えておくことも大切です。 日経サイエンス[日経サイエンス社]やNatureなどの科学誌を活用しましょう。研究職の求人案内が掲載されることもあります。


■ビデオ■ 
ビデオ挿絵  面接では、立居振舞いが相手への印象を深めます。日頃から姿勢や動作に気をつけたいものです。好印象を与える立居振舞いのコツやポイントは、文章で説明されてもピンとこないかもしれません。そんなときは映像で学ぶのが一番です。次のような当館所蔵のビデオで、好感度アップの秘訣を学び身に付けましょう。
ビジネスマナーのすべて1.あいさつ・言葉遣い・敬語の使い方
[日本経済新聞社](20分)
美しい立居振舞い1.魅力的な立ち方・歩き方・座り方 [PHP研究所](15分)
美しい立居振舞い2.礼儀正しいお辞儀と挨拶 [PHP研究所](15分)
新入社員ステップアップ講座1.あいさつ・返事のAtoZ[社会経済生産性本部](18分)


■ホームページ■ パソコン挿絵
 インターネットは、就職活動の幅をグッと広げてくれます。 本学ホームページ就職情報http://www.ntu.ac.jp/plcmt/index.htm)には、本学学生専用の求人情報が掲載されています。 日経就職ナビ[日本経済新聞社、ディスコ](http://job.nikkei.co.jp/)やリクナビ[リクルート](http://www.recruitnavi.com/) 、毎日就職ナビ[毎日コミュニケーションズ](http://www.career.ne.jp/)などのホームページも就職情報が満載です。


リレーエッセイふたこと・みこと

 「私の好きな作家」                   

メディアサイエンス学科助教授  内田 恭敬    

私が本をたくさん読みはじめたきっかけは、大学へ入学した1年の夏休みに推理小説をなんとはなしに購入してみたときです。夏休み中だったこともあり、それから1日中推理小説漬けの日がしばらく続きました。有名な海外の推理小説にも手を出してみましたが、事件が解決しても理由が今ひとつ納得いきませんでした。日本人には分からない感覚のようなものがあるのだと思い、それ以来あまり海外の小説は好きになれませんでした。
 この考えを一変させてくれたのはジェフリーアーチャーの小説「めざせダウニング街10番地」です。当時「鉄の女」ぶりを遺憾なく発揮していたサッチャー首相の政権交代を扱った面白い作品ということなので読んでみました。3人の政治家がそれぞれの地域で政治活動を続け、そのうちの一人がサッチャー首相の後継者を目指すといった内容ですが、英国の政治のことや生活の様子が事細かに描写されていましたがやはり面白いとは思えませんでした。ちょうど本学に着任した年の1990年9月から1年間ケンブリッジ大学へ留学させていただいたときに、サッチャー首相の退陣にからんで保守党のごたごたがBBCで毎日のように放送され、以前に読んだ本のことを思い出しながら見ていました。帰国後もう一度読み直してみると以前とはまったく違い、出身による違いや英国におけるパブのもつ意味などについてもよくわかるようになり、今ではジェフリーアーチャーはお気に入りの作家となりました。
 小説に描かれている場所を訪ねることは、ただ本を読むだけでは得られない面白さを味わえます。長期の休みにトライしてはどうでしょうか。海外に滞在していていた著者が滞在先で経験したことを色々書かれた本もあるので自分の感じたことと比べてみるのも面白いかもしれません。


お知らせ

1Fコピー機横にリサイクルボックスを設けました。
  本学ではエコキャンパスを目指して、ISO14001認証取得に取り組んでいます。その活動の一環として、ミスコピー紙の再利用を図るためリサイクルボックスを設けました。サイズ毎に分別して回収しますので、ご協力よろしくお願いします

携帯電話版図書館ホームページができました。
 携帯電話から、図書館の開館情報などの簡単な利用案内を見ることができます。
 URLはhttp://www.lib.ntu.ac.jp:8080/i/です。

科大祭に伴う開館時間の変更について
  科大祭が行われる11月2日(土)と11月3日(日)は開館します。開館時間は10:00~16:00です。また、11月1日(金)と11月5日(火)の開館時間は、9:20~17:00に変更となります。

臨時休館について
  11月16日(土)は本学推薦入試のため休館します。