教育・研究

図書館だより 第6号 1998.6.24

[目次]



図書館で「情報収集」しませんか?

 日常生活の中で、何かふと疑問に思うことはよくありますよね。そんな時はぜひ図書館に来てみてください。図書館には皆さんの疑問に答えられる情報源がゴロゴロしています。どんな資料を利用すれば良いのかわからない時は、遠慮なく図書館員に聞いてください。
 今回は、ある日図書館で調べものをしたA子さんとB男くんの様子をご紹介します。皆さんも図書館で情報収集することの楽しさを味わってみてはいかがでしょうか?

A子さん 
A子映画「タイタニック」の興業成績はすごいらしいけど、本物のタイタニック号の事故ってどんなだったの? タイタニック号ってどのくらい大きかったの?


 まずは百科事典を引いてみよう。「世界大百科事典(平凡社)」(031/Se22/1...35)はどうかな。百科事典はまず索引を引くのがポイント。「タイタニック号」のことは6ヶ所に書かれているのか・・・先は長いわ。1つめの見出しは「タイタニック号」ね。どれどれ。

  • "処女航海で氷山と衝突して沈没した悲劇の豪華客船。イギリスのホワイトスター会社がキュナード汽船会社のモーレタニアに大きさで対抗すべく、1912年姉妹船のオリンピックとともに建造したもので、長さ269m、幅28m、総トン数4万6329トン。同年、処女航海の途につくためサザンプトンを出港、ニューヨークに向かう途中、4月14日夜ニューファンドランド島沖(北緯41°46′、西経50°14′)で氷山に衝突して翌日沈没、1490名(1513名ともいわれている)の犠牲者を出した。~(中略)~ なお、タイタニックには、鉄道院副参事細野正文が唯一の日本人として乗船していた。"
    *1


 2つめは「海難」の中にタイタニックについて出てくるのね・・・前の記事と大差ないなあ。3つめはどうだ。見出しは「客船」だから船そのものについてかな。

  • "初めて4万トンを越えた巨大船であり、もはや海難などは起こり得ないと考えられていた。~(中略)~ 旅客・乗員数に比べて救命艇の数が不足していたこと、衝突破口からの浸水を一部に止めることができなかったこと、霧中の安全航法が不十分であったことなどが大きな惨事につながってしまい、この事故は以後の客船に大きな教訓を与えた。"
    *2


 事故原因だったわ。4つめも同じ記述。大きさがピンとこないなあ。後の2つは・・・タイタニックの名前が出てくるだけだわ。
 それにしても日本人が乗っていたなんてねー。この人助かったのかしら? 人名辞典引いてみよう。・・・どれにも載っていない!? ここまでかなあ。そういえば現代用語の基礎知識とかって変な付録ついてたわよね。ほら、やっぱり、「現代用語の基礎知識1998年版別冊付録現代用語20世紀事典」(031/G34/1998)。1912年よね。あら、1912年て大正元年じゃない。あった、あった。

  • "この船に乗っていた細野鉄道院副参事は九死に一生を得る。"
    *3


 ってことは助かったんだね。

   掲載箇所:
*1 「世界大百科事典(平凡社)」(031/Se22/1...35) 17-p.27-28
*2 「世界大百科事典(平凡社)」(031/Se22/1...35) 7-p.149
*3 「現代用語の基礎知識1998年版別冊付録現代用語20世紀事典」 (031/G34/1998) p.308


よこ線


B男くん
B男世間はワールドカップ一色って感じだけれど、ワールドカップ第1回の開催地と優勝チームってどこ? そういえばサッカーってフットボールと呼ぶ国もあるけど、どっちが普通なの?


 なんたってスポーツなんだから「最新スポーツ大事典」(780.33/Ki58)をみればいいよね。「サッカー」は P.365 か・・・13頁もあるよ。お、表になってる。

  • "開催年1930、優勝チームウルグアイ"*1。あれ、開催地は? 本文には・・・"第1回はすでに1916年に ~(中略)~中間年である1930年を選んでウルグアイで開かれた。"
    *2


 うーん、紛らわしい表現だなあ。「現代用語の基礎知識1998」(031/G34/1998)には載っているかなあ。「ワールドカップ」っと・・・。何々、

  • "第一回大会は1930年にウルグアイで開催され、地元ウルグアイが優勝を飾った。(後略)"
    *3


 なるほど。じゃ、ついでに「サッカー」も引いてみよっと。

  • "アソシエーション・フットボール(Association football)の愛称。"
    *4


 ってことは、これが本当の名前かあ。

  • "サッカーはアソシエーションから派生した言葉で、日本と北米、オーストラリアといった一部の国では使われるが、世界的には「フッスバル」(独)...フットボールの各国語読みや意訳で呼ばれることが多い。"
    *5


 ふーん。でも、どうして「サッカー」なんだ? サッカーって英語だろうけど語源の事典なんかあったっけ? ええと、データベース(← 注:OPACと言います。)で調べるんだっけ。お、あるある。「英語語源事典」(832/Te62)、スペルは「Soccer」だったよね。

  • "◆(変形・短縮)← (as)soc(iation football):⇒-ER1" (注:ERはこの場合、「~する人」の意味の語尾)
    *6


 うーん、かなり無理がないか、これって・・・?

 掲載箇所:
*1,2 「最新スポーツ大事典」(780.33/Ki58) P.374
*3,4,5 「現代用語の基礎知識1998」(031/G34/1998) P.1381
*6 「英語語源事典」(832/Te62) P.1302




 お暇なら見て! CD-ROM案内  「CD-ROM版 新潮文庫の100冊」


新潮文庫の100冊 第3号でご案内したとおり、当館ではCD-ROMのコレクションをはじめています。今回はその中から「CD-ROM版 新潮文庫の100冊」をご紹介します。
 CD-ROMといえば、マルチメディアが最大の特徴ですが、この作品には派手な画像もなく、主にコンピュータのディスプレイ上に文字が表示されるだけという、非常に地味な作品です。敢えてご紹介する理由は、近い将来実現されると予想される電子図書館の姿を垣間見ることのできる作品だからです。電子図書館では、全ての蔵書はその内容をディジタル化され、コンピュータを通して利用されるようになります。この「新潮文庫の100冊」でも、お馴染みの「人間失格 / 太宰治」や「赤と黒 / スタンダール」等の文学作品が、テキストファイルの形でディジタル化されて収められており、通常の読書としての利用の他、特定の文字列を含む箇所を検索することもできます。例えば..この機能は、特に文献を研究対象とする学問領域で非常に有効であり、また科学技術領域においても、先行研究論文の調査などに役立つでしょう。あらゆる図書館資料がディジタル化されるには、著作権問題等まだまだ残された課題は多いのですが、現時点で100%ディジタル化された資料の実例として、この「新潮文庫の100冊」を是非一度お試しください



■ ■ ■ 図書館利用統計 ■ ■ ■

【過去3年間の利用状況】

年度別入館者数 年度別貸出冊数

 

 過去3年間の入館者数、館外貸出冊数は上図のようになります。平成8年4月から開館時間を延長し、また同時期に閲覧業務がコンピュータ化され貸出手続きも容易になりました。入館者数は増加傾向にありますが、平成8年度に上昇した貸出冊数は平成9年度には若干減少しました。さらに詳しく過去2年間の貸出冊数を身分別に比べてみると、次の図のようになります。
 


【過去2年間の身分別(学部学生は学科別)貸出冊数】

学科別貸出冊数

 大学院生の1人あたり平均貸出冊数は、平成8年度は17.0冊、平成9年度は9.5冊、学部学生の1人あたり平均貸出冊数は、平成8年度は4.5冊、平成9年度は4.2冊でした。

【平成9年度時間別貸出状況】

時間帯別貸出冊数

 この図は平成9年度の貸出冊数を時間別に表したものです。貸出業務を行っている閉館20分前までを1時間毎に集計しました。貸出冊数の約17%(1738冊)が12:30~13:30の間に貸出されました。



リレーエッセイ ふたこと・みこと

 このコーナーでは教職員の方々の「図書館」や「本」にまつわるエッセイを掲載していきます。 

「私と本との付き合い」         マネジメントシステム学科教授 家塚 高志


 子供の時から本が好きでたまらなかった。小学生の頃から家にあった日本文学全集や世界文学全集に夢中になっていた。近眼で眼鏡をかけ、大人の小説に読みふけっていたのだから、決して健全とはいえない。今思うと全く生意気で厭な子供であったに違いない。
 旧制高校の1年の時に戦争が終わった。幸い兵隊にならないですんだ。旧制高校で、本にのめりこむ性癖はますますひどくなった。しかし戦後のこの時代は、本の入手は極めて困難で、岩波文庫の売り出しの日は一番電車で神田の岩波書店に行列してやっと手に入れることが出来るという、今では考えられない状態であった。この頃から続いている古本屋漁りは、現在に至るまで私にとっての大きな楽しみの一つとなっている。本とのめぐり合いには運命的なものさえ感じているのである。
 本があふれている今のような時代に学生生活を送ることが出来るということは全く羨しいと思う。このことを自覚しないで、読書と無縁の学生生活を送っている人が多いのは、何と勿体ないことか。
 本に夢中になる学生は、今では少数派らしい。しかし現在でも若い日の読書の意義と必要性は変わらない。読書という楽しみを知らないで一生を送る人は気の毒であると私は思っている。
 大学は文学部を選んだので、私と本との付き合いは益々深くなった。読書によって時間と空間を越えて様々の師に出会うことが出来、私の内面世界を無限に広げて行くことが出来る。あと1年で定年を迎えるが、定年後の読書三昧の生活が楽しみである。



─ 図書館は次のマナーを守り、気持ちよく利用しましょう。 ─

  • 館内では携帯電話、ポケベル、PHS等の電源を切ってください。
  • 館内では他の人の迷惑にならないよう静かにしてください。
  • 館内は飲食禁止です。
  • 館内は禁煙です。喫煙は館外の所定の場所でしてください。
  • 貴重品は各自で携帯してください。館内での盗難・紛失については図書館では一切責任を負いません。