教育・研究

図書館だより 第28号 2005.4.11

[目次]



図書館長就任のご挨拶

 

新図書館長 引馬 基彦  

 この度、図書館長を拝命いたしました。これを機に本学図書館の変遷をホ-ムペ-ジで調べました。それを一言でまとめるならば、電子情報化の進展です。たとえば、CD-ROMの充実、新蔵書検索システムOPACの導入、学術雑誌の電子情報化、ITスクエア(マルチメディア利用設備)の開設などです。
 昔の話ですが、私が学生だった頃の大学図書館は、利用者が書庫に入れない閉架式システムが主流でした。タイトルだけを頼りに図書カードを繰って本を選び、限度冊数まで借りて閲覧室の机に積み上げて調べ、運よく捜している箇所が見つかれば、そこをひたすら書き写しました。複写は、カメラで撮影して印画紙に焼き付ける方式で、手間がかかり、出来映えもごわごわして、不鮮明でした。
 今日では、とても便利になりました。電子情報化された学術雑誌は、インタ-ネットでコピ-が直ちに取れます。図書館の本は、インターネットでOPACを呼び出し検索できます。たまたま生態学の参考書を探す必要が生じ、「生態学」と「シミュレ-ション」をキーワードにしてそれぞれ検索すると、前者が298冊、後者は131冊ありました。さらに「生態学」および「シミュレ-ション」で検索すると目的の「生態系とシミュレ-ション」と題する本が見つかり、早速図書館へ行って読みました。ついでに書棚から数冊抜き出しパラパラ頁をめくっていると、思わぬ発見もありました。
 さて、学生諸君は図書館をどう活用していますか。インターネットで検索してコピーをとり、少々修正してレポートを作ることも可能です。だが、これだけではよいレポートが書けないばかりでなく、勉強にもならないと思います。アメリカでは、教員側の対応策として、インターネットから採取した文章は赤字に変わる検索ソフトがあるそうです。これではせっかくの電子情報化が、本来の目的から逸脱してしまいますね。
 インタ-ネットと併用して図書館の本も利用しましょう。課題のキーワードをあれこれ考えてOPACで検索し、幾冊か読んで下さい。そうしているうちに、答えが見えてくるはずです。帰りに1階のスポーツ新聞をみてリラックスする、こんなときに素晴らしいアイデアがふっと浮かんでくると言われています。
 電子情報化された図書館の使い方と昔ながらの図書館の使い方、どちらもそれぞれ効能があります。皆様のお手伝いができればと願っています。



「購入リクエスト」サービスを活用しよう!!

 読みたい本が図書館になかったら、あなたはどうしますか?
 図書館では読みたい本を所蔵していなかった場合は、購入のリクエストを受け付けています。図書館に無いからと諦めてしまわずに、ぜひこの購入リクエストサービスを利用して、レポートや論文作成等に役立ててください。      購入希望申込書記入例

●どのように申し込めばいいの?
 まず、OPAC(蔵書目録検索システム)で所蔵がないか確認してください。所蔵が無いことが確認できましたら「購入希望図書申込書」を記入し、カウンターに提出してください。「書名」「著者名」は間違いのないように記入してください。「希望理由」はできるだけ詳しく書いてください。この欄が無記入の場合は購入できません。

●申し込んだ本は必ず購入してもらえるの?
 購入するかどうかは検討しますが、学習や研究に必要な資料でしたら、概ね購入できます。ただし、個人の趣味に偏りすぎるものや、文庫や新書などの安価で入手しやすいもの、非常に高額なもの、内容が大学図書館の所蔵にふさわしくないものなどは購入できない場合があります。大学生という自覚をもって、選んでくださいね。また、絶版や品切れで購入できないこともあります。 検討の結果は図書館入口の掲示板でお知らせします。

●申し込んでから利用できるまでどのくらいかかるの?
 図書館から書店に発注して納品されるまでに、日本で出版される本で約2週間、外国で出版される本ですと約1カ月位かかります。購入した本が利用できる状態になりましたら、再び掲示でお知らせします。1 週間ほどカウンターで保管し、リクエストした人が優先的に借りることができるようにしています。


Q&A

Q いま借りている指定図書コーナーの本の返却期日が来たのですが、継続して借りることはできますか?

できません。3 日間の貸出期間内でご利用ください。なお、当コーナーには講義細目に掲載されている教科書等が置かれていますが、授業で使用するものは必ず各自で購入してください。


平成16年度 図書館利用統計


 入館者数:140,520名   貸出冊数:11,061冊 

身分別貸出冊数グラフ


リレーエッセイふたことみこと



 「本との出会い -郷愁編-」

環境科学科教授 田中敏之

 昭和20年代、小学生時代の話である。我が家も貧しかったが、日本という国全体が貧しかった時代である。本は買って読む時代ではなかった。
 学校へ通う途中に「つたや」という貸し本屋があった。間口2間、奥行きも2,3間の小さな店で真中が両面の本棚で仕切られ、向かって左に子供用、右に大人用の本が並べてあり、本棚の奥に店の人が座っており、帳簿などが置いてある。
 戦前からの『ノラクロ』や『サザエさん』『フクチャン』などがはやっていた時代であるが、子供向けの本棚でも漫画本はあまり多くなかったように思う。『岩窟王』『鉄仮面』『三銃士』『トムソーヤーの冒険』『ロビンソン・クルーソー』・・・数々の名作が挿絵混じりで読みやすく描かれ、気の向くままに読み漁り、子供仲間の話題にもなった。『フランダースの犬』や『クオレ物語』には感動した。
 歴史ものでは、『源平盛衰記』『義経物語』『太閤記』『織田信長』『武田信玄』などの合戦ものから、『福沢諭吉』『湯川秀樹』『高峰譲吉』『野口英世』『ワシントン』『リンカーン』『ガンジー物語』等々、今から思えば、知識の原点がここにあるようにも思える。『平家物語』はあったが、『源氏物語』はなく、長い間、『源氏物語』は、義経や頼朝の話だと思いこんでいた。
 貸し本屋で本を読むということは、小遣いでおもちゃや駄菓子を買うのと同じ遊びの一つであり、今から思えば、これほど読書を遊びとして楽しんだ時代はなかったように思う。
 新聞、雑誌、ラジオの普及から、テレビ、コンピュータ、電話など、メディアの目覚しい進歩があり、経済復興と相俟って、街の景観のみならず、人の意識の変化、発想まで大きく変化させ、50年前とはもはや、別人種とも言えるほどの隔世の感がある。世代の断絶は避けがたいものがあるが、未来に残したい何か、昔から引き継ぎたい何か、が幼い頃親しんだ本などに残されているのではないか、と思うこの頃である。



蔵書点検を実施しました。

図書館では毎年一定期間休館して、紛失資料の有無や汚破損などの資料状態を把握するために蔵書点検を行っています。平成16年度は夏期休業期間中と春期休業期間中の2回に分けて実施しました。その結果、5冊の行方不明図書があることがわかりました。点検期間中は皆様にご不便をおかけしました。ご協力有難うございました。


お知らせ

★継続購入資料の入れ替えについて

2005年より下記の資料の購読を中止します
【図書】中小企業白書/中小企業の原価指標/中小企業の経営指標/英文会社四季報/会社年鑑/会社総鑑/企業経営の分析/工業統計表/国民経済計算年報/レジャー白書/ 労務年鑑/商業統計表/就業構造基本調査報告/わが国企業の海外事業活動
【雑誌】Accounting ReviewAmerican Economic ReviewHarvard Business ReviewIEEE Transactions on ReliabilityIndustrial & Labor Relations ReviewJournal of American Statistical AssociationJournal of Economic LiteratureJournal of Economic PerspectivesManagement ScienceQuality ProgressSloan Management ReviewTechnometricsESPForsightJapanese Economic ReviewQCサークル/オペレーションズリサーチ/ レクリエーション/外交フォーラム/企業会計/労働科学/労働統計調査月報/組織科学/選択/経済セミナー/工場管理
2005年より下記の資料を新規購読します。
【図書】医療政策六法/資格の取り方・選び方オールガイド/食品衛生小六法
【雑誌】食品衛生研究/PET BUSINESS neo
2005年より下記の雑誌は冊子体から電子ジャーナルに変更します。
Human Factors and Ergonomics in Manufacturing


★「Current Contents Connect」の利用について

 CD-ROMで購読していた目次速報誌「Current Contents」がWWWで抄録データベースとして利用できるようになりました。一括検索が可能になるなど検索機能も便利になりましたのでどうぞご利用ください。詳細は http://www.lib.ntu.ac.jp:8080/ をご覧下さい。